LELavaEstate
用語不動産の鑑定評価に関する理論

純収益とは|賃料収入、総費用、借入返済、NOIを区別する

純収益は、評価に対応する総収益から総費用を控除して求めます。家賃の入金額や会計上の利益、借入返済後の手残りと混同せず、利回りやDCFの前提と範囲をそろえます。

純収益とは:総収益、総費用、純収益の関係を示す図
この記事の目次 10項目
  1. 用語の整理
  2. 別名・関連表現
  3. 最初に、何のための収支かを示す
  4. 満室想定から、現実に見込む総収益へ
  5. 必要な総費用を控除する
  6. 借入返済と減価償却費の扱いに注意する
  7. 大規模修繕等は、計算の段階を統一する
  8. 出典・参照資料
  9. 次に学ぶ
  10. 関連記事

用語の整理

別名・関連表現

  • 不動産の純収益

最初に、何のための収支かを示す

収益還元で使う純収益は、対象不動産が生む経済的な収益を把握するための数字です。所有者個人の借入条件や所得税等を含む資金繰りの数字と、そのまま同じにはなりません。

用語としてNOIやNCFが使われる資料でも、費用や資本的支出等の扱いが一致するかを確認します。略語が同じだから、評価基準上の純収益と必ず同額になるという理解は避けます。

満室想定から、現実に見込む総収益へ

年の満室想定賃料を1,000万円、空室・貸倒れ等の損失を100万円、その他収入を20万円とする単純例を考えます。総収益は1,000-100+20=920万円です。一時金の運用益等は、この例ではないものとします。

満室想定の数字をそのまま実際の入金や純収益と呼ばないでください。対象の契約条件、稼働の予測、賃料改定、その他収入等を整理して、どの数字を収益としたかを示します。

必要な総費用を控除する

上の例で、維持管理費、公租公課、損害保険料、必要な修繕費等の総費用を300万円と仮定すれば、純収益は920-300=620万円です。費用は何でも控除するのではなく、評価の前提に対応する項目と金額を確認します。

実際の所有者の支出が、そのまま適正な費用とは限りません。異常な一時支出や、対象と関係のない経費、将来必要な支出の欠落等を見直します。単に帳簿の経費合計を転記する作業ではありません。

単純例の項目

年額

満室想定賃料

1,000万円

空室・貸倒れ等の損失

100万円を控除

その他収入

20万円を加算

総費用

300万円を控除

純収益

620万円

借入返済と減価償却費の扱いに注意する

借入元本の返済は、建物を運営するための費用とは性質が異なります。資金調達条件が違う二人の所有者で、同じ不動産の収益力を比較できるように、物件の収益と所有者の資金繰りを分けます。

会計上の減価償却費も、現金支出とは一致しません。評価で用いる純収益が償却前か後か、還元利回りがどの前提に対応するかをそろえます。償却を費用に含めた上で、同じ回収分を利回り側にも重ねることを避けます。

大規模修繕等は、計算の段階を統一する

DCFでは、資本的支出やその積立等を、収益や費用のどの段階で反映しているかを明確にします。純収益からさらに控除する資料と、すでに控除済みの資料を混ぜると、同じ費用を二度引くことがあります。

価格と賃料と還元利回り・割引率を合わせ、分子の純収益と分母の率が同じ条件かを確認してください。

この内容を問題で確かめる

この記事に関連する問題を10問収録しています。まずは3問で、読んだ内容を思い出せるか確かめましょう。

過去問は出題当時の基準、オリジナル問題は記載された基準で採点します。年度・基準日を確認してください。

採点後は各選択肢の理由を確認できます。間違えたところは、この記事に戻って読み直しましょう。

学習記録の保存にはログインが必要です。ログイン後、この演習に戻ります。

出典・参照資料

  1. 不動産鑑定評価基準(国土交通省)確認日 2026/10/28
  2. 不動産鑑定評価基準運用上の留意事項(国土交通省)確認日 2026/10/28

次に学ぶ

学習の順序に戻って、次の単元を選べます。

不動産鑑定評価の学習順序に戻る →

関連記事

計算

DCF法の計算|各期収益と復帰価格

DCF法を3年間の例題で計算。各期純収益、4年目収益から求める復帰価格、売却費用、割引時点を表と確認問題で整理します。

解説を読んで疑問が残ったときは、この記事に紐づけて質問できます。

この記事について質問する →

この記事の目次