LELavaEstate
条文宅建業法

重要事項説明の内容一覧|35条の売買・貸借の違いと確認問題

35条の主要な説明事項を売買・交換、宅地貸借、建物貸借で比較。建物状況調査、電子交付とIT重説を事例・確認問題で整理します。

重要事項説明:物件の事項、取引条件、説明と交付の関係を示す図
この記事の目次 21項目
  1. 条文と学習の要点
  2. 条文・学習用要旨
  3. 趣旨
  4. 要件
  5. 効果
  6. 試験での確認点
  7. 説明の相手・時期・宅建士の役割
  8. 物件に関する説明事項の比較
  9. 建物状況調査と書類保存の違い
  10. 取引条件に関する主要事項
  11. 3つの事例で判断する
  12. 抵当権を決済時に抹消する予定の土地
  13. ペット飼育を制限する賃貸マンション
  14. 買主も宅建業者の場合
  15. 電子交付とIT重説は別の手続
  16. 確認問題
  17. 参照資料・確認日
  18. 続けて学ぶ論点
  19. 出典・参照資料
  20. 次に学ぶ
  21. 関連記事

条文と学習の要点

35条(重要事項の説明等)

条文・学習用要旨

宅地建物取引業法第35条は、契約成立までの間に、宅地建物取引士をして、所定の事項について書面を交付して説明させること等を定める。(学習用要旨。全文は公式出典を参照)

公式資料で確認する

趣旨

契約を締結するか判断するために必要な情報を、取得者・借主へ事前に伝える。

要件

  • 契約成立までの間に行う
  • 宅地建物取引士が説明する
  • 取引の種類に応じた事項を記載し、書面を交付する

効果

  • 契約の判断に必要な情報を事前に提供する

試験での確認点

  • 売買交換・宅地貸借・建物貸借で範囲を分ける
  • 調査結果と書類保存を区別
  • 所定のRC・SRC共同住宅等の調査は過去2年以内
  • 業者間も書面交付は必要
  • 電子交付とIT重説は別

重要事項説明は、買主や借主が「この条件で契約するか」を決めるための説明です。宅建業者が、契約成立までの間に、宅建士に書面を交付して説明させます。①説明の相手、②時期、③担当者、④取引の種類に応じた説明内容、の順で整理します。

この記事は35条の主要事項を整理する学習用解説です。条文の全文や、個別物件の重要事項説明書の代わりではありません。

説明の相手・時期・宅建士の役割

確認点

原則

間違えやすい点

説明の相手

買主・交換により取得する者・借主

売買の媒介だから売主にも説明する、とはしない

時期

契約成立までの間

引渡しまで、代金の支払まで、ではない

説明する人

宅建士

従業者であれば誰でもよいわけではない

宅建士証

説明の際に提示

相手から請求された場合だけではない

書面

宅建士の記名が必要

現行法で押印まで必須とはしない

相手が宅建業者

説明は省略できるが書面交付は必要

業者間なら35条が全部不要、とはしない

売主Aと買主Bの売買を業者Cが媒介するとき、Cが35条の説明をする相手は取得者Bです。契約成立後の37条書面は売主A・買主Bの双方への交付が必要になるため、区別します。

物件に関する説明事項の比較

「対象」はその取引で説明事項となる意味です。未完成、既存、調査記録ありなど、各行の条件も読みます。「対象外」はその欄について35条上の対象から外れる意味であり、取引上重要な事実を隠してよいという意味ではありません。

主要な説明事項

売買・交換

宅地の貸借

建物の貸借

登記された権利・登記名義人等

対象

対象

対象

法令に基づく制限の概要

対象

対象

対象。ただし対象法令の範囲が狭い

私道に関する負担

対象

対象

対象外

飲用水・電気・ガス・排水施設の整備状況

対象

対象

対象

工事完了時の形状・構造等

未完成なら対象

未完成なら対象

未完成なら対象

造成宅地防災区域・土砂災害警戒区域・津波災害警戒区域内か

対象

対象

対象

水防法に基づく水害ハザードマップ上の所在地

図面がある場合に対象

図面がある場合に対象

図面がある場合に対象

石綿使用調査の内容

建物で調査記録があれば対象

対象外

調査記録があれば対象

耐震診断の内容

所定の建物で診断があれば対象

対象外

所定の建物で診断があれば対象

建物状況調査の実施の有無・結果の概要

既存建物なら対象

対象外

既存建物なら対象

建築・維持保全に関する書類の保存状況

既存建物なら対象

対象外

対象外

住宅性能評価を受けた新築住宅か

新築住宅なら対象

対象外

対象外

区分所有建物の敷地・共用部分の権利、規約、管理費等

区分所有建物なら対象

対象外

売買と同じ一式ではなく利用制限等を確認

建物の貸借にも対象となる法令の制限はありますが、建ぺい率・容積率を売買と同じ範囲で説明する義務があるわけではありません。ライフラインが未整備なら、整備の見通しと特別の負担も説明します。私道負担が対象の取引では、負担がない場合もその旨を説明します。

建物状況調査と書類保存の違い

建物状況調査は、実施の有無と対象となる調査結果の概要を説明します。対象期間は原則として過去1年以内です。鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造の所定の共同住宅等は過去2年以内となります。すべてのマンションが一律2年になるわけではありません。

一方、建築・維持保全に関する書類は、売買・交換における保存状況の説明です。「書類があるか」と「調査結果がどうだったか」は別の情報です。35条は、すべての既存建物について新たに建物状況調査を実施することまで一律に義務付けてはいません。

耐震診断も、古い建物なら宅建業者が必ず新たに診断する、という義務ではありません。昭和56年5月31日以前の新築工事着手を基準とする所定の建物について、診断の有無や内容を確かめる問題と区別します。

取引条件に関する主要事項

説明事項

売買・交換

宅地・建物の貸借

代金・交換差金・借賃以外に授受する金額と目的

対象

対象

契約の解除、損害賠償額の予定・違約金

対象

対象

支払金・預り金の保全措置を講ずるか、講ずる場合の概要

対象

対象

手付金等の保全措置の概要

自ら売主の取引で41条・41条の2の適用を確認

対象外

ローンのあっせん内容・成立しないときの措置

対象

対象外

契約不適合責任の履行に関する保証保険等の措置

講ずるか、講ずる場合の概要

対象外

現金販売価格・割賦販売価格等

該当する割賦販売で対象

対象外

契約期間・更新、利用制限、敷金等の精算、管理委託先

貸借と同じ一式ではない

対象

契約終了時の宅地上の建物の取壊し

貸借事項としての対象外

宅地の貸借で対象

完成した建物の台所・浴室等の設備の整備状況

貸借事項としての対象外

建物の貸借で対象

代金や借賃そのものの額・支払時期・方法は37条書面との区別が問われます。35条の表を「契約書に載る事項の全部」と読み替えないようにします。供託所等の説明は35条の2に基づく別の義務です。

3つの事例で判断する

抵当権を決済時に抹消する予定の土地

説明時点の登記に抵当権があれば、「引渡しまでに消す予定だから説明不要」とはできません。現在の登記された権利を確認し、抹消予定の説明と分けます。

ペット飼育を制限する賃貸マンション

建物の貸借では、用途その他の利用制限が説明対象です。売買で説明する管理関係の事項を全部当てはめるのでなく、借主の利用に関係する規約等を確認します。

買主も宅建業者の場合

説明は省略できますが、35条書面は交付します。「説明省略」と「交付不要」を同じ意味にしないことが判断の要点です。

電子交付とIT重説は別の手続

電子交付は、紙の代わりに所定の電磁的方法で提供することです。相手方の承諾を得て、出力できることなどの基準を満たす必要があります。PDFを送信すれば常に足りるわけではありません。

IT重説は、映像・音声でやり取りしながら説明する方法です。双方向通信、書面等の事前送付、内容を確認できる環境、画面を通じた宅建士証の提示などを整えます。電子交付の承諾を得たから説明も省略できる、という関係ではありません。

確認問題

問題

答え・理由

売買の媒介では売主にも必ず35条説明をする。

誤り。取得者である買主への説明を確認する。

建物の貸借でも私道負担がない旨を35条事項として説明する。

誤り。私道負担は建物の貸借を除く。

既存建物の貸借でも、対象となる建物状況調査の有無・結果の概要を説明する。

正しい。書類保存状況との違いを確認する。

木造共同住宅も調査結果はすべて過去2年以内が対象である。

誤り。2年の取扱いには構造等の条件がある。

相手が宅建業者なら説明を省略しても35条書面は交付する。

正しい。説明と交付は別の義務。

次は37条書面の記載事項と35条との比較へ進みます。依頼からの流れは媒介契約3種類の比較で確認できます。

参照資料・確認日

2026年10月22日確認。受験年度の法令基準日は、試験実施機関の案内で別途確認してください。

続けて学ぶ論点

宅建士証を提示しなければならない場面は?

この内容を問題で確かめる

この記事に関連する問題を8問収録しています。まずは3問で、読んだ内容を思い出せるか確かめましょう。

過去問は出題当時の基準、オリジナル問題は記載された基準で採点します。年度・基準日を確認してください。

採点後は各選択肢の理由を確認できます。間違えたところは、この記事に戻って読み直しましょう。

学習記録の保存にはログインが必要です。ログイン後、この演習に戻ります。

出典・参照資料

  1. 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(2026年4月1日以降適用)(国土交通省)確認日 2026/10/22
  2. 宅地建物取引業法(e-Gov法令検索)確認日 2026/10/22
  3. 重要事項説明の様式例(国土交通省)確認日 2026/10/22
  4. ITを活用した重要事項説明及び書面の電子化(国土交通省)確認日 2026/10/22

次に学ぶ

学習の順序に戻って、次の単元を選べます。

宅建業法の学習順序に戻る →

関連記事

解説を読んで疑問が残ったときは、この記事に紐づけて質問できます。

この記事について質問する →

この記事の目次