支払日が来たことと、遅滞責任の開始を整理する
民法412条は、確定期限、不確定期限、期限の定めがない債務について、遅滞の責任を負う時期を定めています。どの契約でも「請求されたら遅滞」と覚えると、確定期限の扱いを取り違えます。
例えば代金を4月30日までに支払う契約なら、期日の到来を基準に考えます。ただし、相手方にも同時に履行すべき義務があり、同時履行の抗弁が成り立つ場合などは、その事情も別に確認します。
確定期限では、到来を知ったかが要件ではない
確定期限がある債務は、その期限が到来した時から遅滞の責任を負います。支払日を忘れていた、請求書をまだ受け取っていないというだけで、412条1項の開始時期が後へずれるわけではありません。
契約書に「毎月末日」と書かれている場面も、期日を特定できるかを確認します。履行期の定めと、実際の督促日を同じ欄に書くと混同しやすいので、日付を分けて記録します。
不確定期限は、到来後の認識・請求を見る
不確定期限は、到来すること自体は確実でも、いつ到来するかが確定していない期限です。この場合、期限到来後に履行請求を受けた時と、期限が到来したことを知った時の、いずれか早い時から遅滞責任を負います。
期限の到来を5月2日に知り、5月8日に請求を受けた場合、基準となるのは先の5月2日です。請求が先なら、その請求を受けた時を見ます。二つの出来事を時系列で比べることが大切です。
期限の定め | 遅滞責任の開始時期 |
|---|---|
確定期限 | 期限が到来した時 |
不確定期限 | 到来後の履行請求を受けた時と、到来を知った時の早い方 |
期限の定めなし | 履行の請求を受けた時 |
期限なしでは、請求を受けた時を確認する
期限の定めがない債務については、履行請求を受けた時から遅滞の責任を負います。債権が発生した日から当然に遅滞するわけではありません。通知を出した日と、債務者が請求を受けた日も区別します。
ただし、契約の種類によって返還請求に相当期間を要するなど、特則が関係する場合があります。412条の基本表を出発点にしつつ、問題が貸借等の個別制度の条件を示していないかを確認します。
遅滞になれば、直ちに何でも請求できるわけではない
遅滞の開始が分かったら、損害賠償の要件、損害の範囲、解除の催告等を別に検討します。遅れがあることだけで、すべての損害が当然に賠償対象になるとは限りません。また、催告解除では相当期間や不履行の軽微性も問題になります。
事例のメモには、期限の種類、到来、認識、請求、双方の履行状況を並べてください。履行不能と損害賠償の範囲で、不履行の次の段階を学べます。
この内容を問題で確かめる
この記事に関連する問題を1問収録しています。まずは1問で、読んだ内容を思い出せるか確かめましょう。
過去問は出題当時の基準、オリジナル問題は記載された基準で採点します。年度・基準日を確認してください。
採点後は各選択肢の理由を確認できます。間違えたところは、この記事に戻って読み直しましょう。
学習記録の保存にはログインが必要です。ログイン後、この演習に戻ります。
出典・参照資料
- 民法(e-Gov法令検索)確認日 2026/10/28
関連記事
解説を読んで疑問が残ったときは、この記事に紐づけて質問できます。
この記事について質問する →
