新規賃料は、新たな賃貸借等の契約について求める賃料です。継続賃料は、既に続いている特定の当事者間の契約関係について求める賃料です。前者は新しい市場選択、後者は現行賃料や契約の経緯を踏まえた当事者間の関係が判断の出発点になります。
同じ物件でも評価する場面が違う
空室になった店舗を新たな借主へ貸す場面と、長く借りている店舗の賃料を改定する場面では、同じ建物であっても検討の前提が違います。新規にいくらで貸せるかが分かれば、継続中の賃料も必ずその金額へ直ちに一致するという関係ではありません。
継続賃料では、直近合意時点以降の公租公課、土地・建物価格、周辺の賃料等の変動に加え、契約の経緯、賃料改定の経緯、契約内容を総合的に勘案します。市場の変化を無視するのでも、現行賃料を無条件に維持するのでもありません。
判断の軸と手法を並べる
項目 | 新規賃料 | 継続賃料 |
|---|---|---|
主な場面 | 新たな賃貸借等の契約 | 継続する特定当事者間の契約 |
主な手法 | 積算法、賃貸事例比較法、収益分析法等 | 差額配分法、利回り法、スライド法、賃貸事例比較法等 |
固有に検討する条件 | 新規契約の物件・市場・契約条件 | 現行賃料と合意・改定の経緯、当事者間の公平 |
賃貸事例比較法は双方で用いられ得ますが、継続賃料では継続関係固有の条件に留意します。同じ手法名が出てくることと、考慮する条件が完全に同じことは別です。
直近合意時点を確認する
継続賃料を考えるとき、いつの現行賃料を基準とするかが曖昧だと、何がその後に変化したのかを比較できません。直近に当事者が賃料額を合意し、適用した時点を確認して、そこから価格時点までの事情を整理します。
建物の建築時、最初の入居時、直前に銀行口座へ振り込んだ日が、必ず直近合意時点になるわけではありません。契約書、更新や改定の合意、実際に適用した経緯などの資料を照らして把握します。
近隣の募集賃料との比較
周辺の募集賃料が上がっていても、募集と成約、無料期間や一時金、設備や面積の条件が違うことがあります。新規賃料の把握でも、比較する契約条件をそろえる作業が必要です。さらに継続賃料では、その新規水準との関係だけでなく、既存の契約関係を検討します。
例えば、同じ面積の隣室が月額30万円で新規募集されていても、対象室の現在の契約が直ちに月額30万円の経済価値を表示すると結論づけることはできません。相場資料は、条件と契約経緯を整理したうえで使います。
契約書を更新したという形式だけで、従来の賃貸借関係がなくなった新規契約として扱えるとは限りません。誰が何を継続して使用し、賃料をどのように合意したのかという実態を確認します。評価する契約関係を先に特定し、その場面に合う賃料を求めます。
確認問題
問1:新規募集の賃料が現行賃料より高ければ、継続賃料は必ず募集額と一致しますか。
いいえ。継続賃料では現行賃料や契約・改定の経緯、諸事情の変動等を総合的に勘案し、当事者間の公平にも留意します。
問2:賃貸事例比較法は、新規賃料でしか使われませんか。
いいえ。継続賃料にも用いられますが、対象の継続関係に固有の条件に即した検討が必要です。手法の名称だけで場面を判定しないでください。
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出典・参照資料
- 不動産鑑定評価基準(国土交通省)確認日 2026/10/23
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