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判例権利関係民法(論文式・準備)

自分が履行に着手した後も手付解除できる?最高裁昭和40年11月24日大法廷判決

自分が履行に着手した後の手付解除を、相手方の未着手と履行の準備・着手の違いから読む判例です。

契約の確認に使う書類と筆記具
この記事の目次 14項目
  1. 判例の要点
  2. 事案
  3. 争点
  4. 結論
  5. 理由
  6. 判例法理
  7. 試験での確認点
  8. 履行の準備と着手を行為から区別する
  9. 解除する人と、解除される人を入れ替えない
  10. 反対意見と現行法を分けて読む
  11. 確認問題
  12. 関連する条文・解説
  13. 出典・参照資料
  14. 次に学ぶ

判例の要点

裁判所
最高裁判所大法廷
裁判年月日
1965-11-24
事件番号
昭和37年(オ)第760号
裁判形式
判決

所有権移転登記等請求

事案

売主は、大阪府から対象不動産を取得して買主へ移すため、府へ代金を払い自分名義へ登記した。買主は手付40万円を支払った段階で、売主が手付倍戻しによる解除をした。

争点

売主の目的物調達は履行着手か。また、自分が着手していても相手方が未着手なら手付解除できるか。

結論

売主の調達行為は履行着手に当たるが、買主は未着手だったため売主の手付解除を認めた。上告棄却。履行着手後の自己の解除を否定する反対意見がある。

理由

履行に着手した相手方の不測の損害を防ぐことが制度の趣旨であり、自らの費用を犠牲にして解除する当事者まで制限する理由はないとした。

判例法理

学習用要旨:売主の調達行為は履行着手に当たるが、買主は未着手だったため売主の手付解除を認めた。上告棄却。履行着手後の自己の解除を否定する反対意見がある。

公式資料で確認する

試験での確認点

本判決の多数意見では、相手方である買主の着手が問題です。買主が未着手なら、売主自身の着手だけで解除権がなくなるわけではありません。

手付解除の期限では、誰が履行に着手したかが重要です。売主自身の履行着手が認められても、買主が未着手だったため売主の解除が認められた事件から、履行の準備との違いと相手方保護の理由を読みます。

履行の準備と着手を行為から区別する

多数意見は、外から認識できる形で給付の一部を行うことや、履行の提供に欠かせない前提行為をすることを履行着手と説明しました。本件の代金支払と売主への所有権移転登記は、特定の目的物を調達する行為であり、単なる準備を超えるとされています。

原審が売主の行為を準備にとどまるとした点は誤りとされました。ただし、それが直ちに買主の勝訴につながったわけではありません。続いて、解除できなくなるのはどちらの当事者かが検討されています。

解除する人と、解除される人を入れ替えない

買主は手付を払っただけで履行に着手していないとされました。多数意見は、売主が自ら着手していても、未着手の買主に対して手付倍戻しで解除できるとしました。着手した当事者の期待や支出を保護する趣旨から、相手方の着手を基準にしています。

学習用に条件を変え、買主が残代金の一部を履行として支払うなど着手していたとすれば、売主の解除には同じ結論を当然に使えません。誰のどの行為が、いつ行われたかを具体的に確かめます。

反対意見と現行法を分けて読む

横田正俊裁判官の反対意見は、自ら着手した当事者も解除できないと考えました。着手によって相手方の履行への期待も強まることなどを挙げています。これは判決の結論を支える多数意見とは区別します。

現行民法557条1項ただし書は、相手方が履行に着手した後の手付解除を制限しています。売主が解除する場合の倍額の現実の提供など、現行条文の要件も確認します。また、宅建業者が自ら売主となる場面では宅建業法39条の適用も別に確認します。

確認問題

売主が履行に着手した。これだけで売主自身の手付解除も必ずできなくなりますか。

解説:本判決の多数意見では、相手方である買主の着手が問題です。買主が未着手なら、売主自身の着手だけで解除権がなくなるわけではありません。

関連する条文・解説

出典・参照資料

  1. 最高裁判所大法廷 1965-11-24 所有権移転登記等請求(最高裁判所)確認日 2026/10/28
  2. 裁判例結果詳細 昭和37年(オ)第760号(最高裁判所)確認日 2026/10/28
  3. 民法(e-Gov法令検索)確認日 2026/10/28

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