民法で有効でも、業者の販売には制限がある
売主が契約時に所有していない物を売る契約は、その一点だけで民法上当然に無効になるわけではありません。売主は権利を取得して買主へ移転する義務を負います。ここでの契約の効力と、宅建業者の業務規制を分けてください。
宅建業者が自ら売主として、非業者の買主に自己の所有に属しない宅地・建物を売る場合、宅建業法33条の2の制限を確認します。買主が代金を支払っても権利を得られない危険を抑えるため、一定の例外に当たる場合を除き、その売買契約の締結が制限されます。
取得契約がある場合は、内容まで確認する
売主業者Aが所有者Oから取得する売買契約を締結している場合等は、例外の検討対象になります。予約を含む取得契約等があれば足りる場合がありますが、効力の発生が停止条件にかかっているものは、この取得契約等の例外から除かれます。
例えば「Aへの融資が承認された場合に初めてO・A間の売買が効力を生ずる」とされ、まだ承認がない場合、その契約書を持っているというだけで例外を満たすとは扱いません。一方、代金支払いと所有権移転の時期が後日であることを、すべて停止条件と同一視することもできません。条項の法的な意味を読みます。
口約束の期待と、権利取得の契約を分ける
Oが「将来売ってもよい」と話しているだけなら、取得契約が成立したか、内容が何かを確認する必要があります。Aが購入希望を伝えた、交渉が進んでいる、価格の見積りが届いたという事情だけから、取得契約等の存在を補わないでください。
Aと所有者Oの状態 | 検討するポイント |
|---|---|
取得に向けた交渉だけ | 取得契約等があるとは限らない |
有効な売買契約・予約等がある | 法令上の例外に該当するか確認 |
契約の効力が未成就の停止条件にかかる | 取得契約等による例外では除外 |
既にAが所有権を取得している | そもそも他人物売買かを再確認 |
未完成物件の例外は、保全の条件を読む
造成・建築工事の完了前の物件については、法定の手付金等の保全措置を講じる場合に関する別の例外があります。完成物件について取得契約がある場合と、同じ入口で覚えないようにします。工事が未完成というだけで自由に他人物売買を行えるわけではありません。
また、広告開始時期や契約締結時期について、許可・建築確認等を要する規制も別にあります。33条の2の例外を満たしたから、他の規制を確認しなくてよいということにはなりません。取引の対象、許可等、権利取得、受領金銭の保全をそれぞれ照合します。
売主・買主・契約の種類を先に確定する
Aが所有者Oと買主Bの売買を媒介する場合、A自身が自ら売主となる場面とは違います。他人物売買の契約制限を問う設問では、Aが売主なのか媒介業者なのかを確認してください。登場する会社が宅建業者だからという理由だけで、自ら売主の場合の規制を当てはめないようにします。
買主も宅建業者である場合には、業者間取引についての適用除外を確認します。学習では、民法上の契約の効力、33条の2の適用対象、例外の三段階で答えると、「有効だから規制違反もない」という飛躍を防げます。
出典・参照資料
- 宅地建物取引業法(e-Gov法令検索)確認日 2026/10/28
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