「相互間」は、売主と買主の双方が宅建業者ということ
売主Aと買主Bの双方が宅建業者なら、業者相互間の取引の適用除外を検討します。業者Cが仲介する個人A・個人B間の売買や、売主Aだけが宅建業者で買主Bが一般の会社という場面とは異なります。
特に、法人である、投資目的で買う、不動産に詳しい、という事情だけで相手方が宅建業者になるわけではありません。免許業者なのか、契約上の当事者は誰なのかを確認します。会社の担当者が宅建士資格を持つことと、その会社が宅建業者であることも別です。
適用除外の範囲は条文で列挙されている
78条2項は、33条の2及び37条の2から43条までを、宅建業者相互間の取引に適用しないと定めています。一般に8種制限と呼ばれる規制がこのまとまりです。条文番号の範囲を押さえると、似た番号の37条まで不要とする誤りを防げます。
例えば、自ら売主となる場合の損害賠償予定額・違約金の20%上限や、手付の20%上限、手付金等の保全措置等は、この適用除外の対象になります。一方、37条の契約書面の交付は、37条の2のクーリング・オフとは別の規定です。
除外されたから、どんな特約でも有効とは限らない
宅建業法の特定の規制が適用されないことと、契約のすべての内容が必ず有効であることは違います。民法や公序良俗などの一般的な規律に加え、他の法令が関係する場合にはそれも検討します。
例えば、売主・買主がいずれも業者であるため38条の上限が適用されないとしても、その事実だけで、条項の意味や他法令上の問題をすべて確定できるわけではありません。試験では、どの法律のどの制限が問われているかを特定して答えることが大切です。
重要事項説明は、説明と交付を分ける
35条では、取引の相手方等が宅建業者である場合、宅建士による重要事項説明を省略できる扱いがあります。ただし、重要事項を記載した書面の交付まで不要になるわけではありません。説明する行為と、書面又は適法な電子提供を行うことを別々に確認します。
「業者は自分で分かるから35条は丸ごと適用されない」とまとめると、この違いを失います。また、買主側は業者でも売主側は非業者など、説明・交付を受ける人の属性が混在する場面では、誰に対する義務かを丁寧に読みます。
37条書面と広告の規制は残る
37条書面は、業者同士でも契約成立後遅滞なく交付する必要があります。宅建士の記名等の要件も、その規定に従って確認します。契約をしたのがプロ同士であることを、契約内容の記録を不要とする根拠にはできません。
誇大広告等の禁止や、未完成物件の広告開始時期の制限なども、78条2項の8種制限の適用除外と同じ扱いではありません。業者向けの取引であることだけを理由に、不正確な広告が許されるわけではないことを押さえます。
規制・義務 | 業者間取引での基本的な整理 |
|---|---|
8種制限 | 78条2項による適用除外を確認 |
35条の説明 | 業者である相手方等への説明省略の扱い |
35条書面 | 交付が不要になるわけではない |
37条書面 | 交付等が必要 |
広告規制等 | 8種制限と同じ除外ではない |
取引全体へ一つの結論を出さない
A業者がB業者へ未完成建物を売る例なら、保全措置の規制が適用除外となることと、広告をいつ開始できるか、契約後の書面を交付したかを、それぞれ別に検討します。問題文の「業者相互間」という条件を見つけたら、すべて不要とするのではなく、該当する規定が除外の範囲に入っているかを確かめてください。
出典・参照資料
- 宅地建物取引業法(e-Gov法令検索)確認日 2026/10/28
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