業務で知った秘密を対象とする
45条は宅建業者が業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を保護します。売却を急ぐ事情、家族関係、資金計画など、取引の過程で知った非公開の情報が問題になり得ます。全ての情報が同じ意味で秘密となるわけではありませんが、本人が公表していない事情を、営業上便利だからと自由に他人へ話してよいわけではありません。情報の内容と取得経緯を確かめます。
正当な理由の有無を具体的に考える
条文は、正当な理由がある場合を除いて漏えいを禁じます。本人の承諾や法令に基づく対応などが問題となる場面でも、何を、誰へ、どの範囲で開示できるのかを確認します。取引相手に好印象を与えるため、又は値下げ交渉を進めるために話すことを、それだけで正当な理由とすることはできません。「取引に役立つ」という目的と、秘密を開示できる根拠を分けます。
廃業しても義務は残る
45条後段は、宅建業を営まなくなった後でも同様と定めています。免許を返した日、会社が取引を終えた日などで、過去に知った秘密を自由に公表できるようになるわけではありません。契約終了後の顧客情報の扱いを考える際も、取引が完了したことだけを理由に義務の消滅を判断しません。継続する義務を明記した条文として押さえます。
業者と従業者の規定を区別する
45条は業者の義務ですが、従業者に対する秘密保持の規律も75条の3で別に置かれています。従業者でなくなった後の扱いも確認します。会社に免許があることと、そこで情報を扱う個人の義務を一つにまとめないようにします。秘密を持ち出す行為を考えるときには、退職したから無関係という結論を先に置かず、当時の地位と情報の取得経緯を整理します。
告知義務との関係を整理する
取引判断に重要な事項の説明や、故意の不告知禁止と、顧客の秘密の保護は別の規律です。例えば物件の権利や利用制限に関わる情報を、単に「秘密だから何も説明しない」と扱ってよいとは限りません。他方、売主の私生活に関する事情を、物件説明に不要なのに広く伝えることも適切ではありません。法定の説明事項なのか、私的な非公開事情なのか、必要性と根拠を分けて検討します。
値下げ交渉での情報開示の事例
A社が売主Bから、売却を急ぐ個人的な事情を聞いていました。買主候補Cから理由を尋ねられたとき、契約を早く成立させたいという理由だけで、その事情を詳細に伝えてよいとはいえません。承諾や開示の根拠、必要な範囲を確認します。学習上は、物件自体の重要な事実の説明と、本人の秘密を交渉材料にする行為を分けると、45条と47条の混同を防げます。
退職者と廃業業者を別の根拠で見る
顧客情報を知ったA社が廃業した場合は45条後段、A社の従業者Bが退職した場合は75条の3後段を確認します。両者とも地位を離れた後の秘密保持を扱いますが、主語と根拠条文は違います。取引が終わったから、又は担当を外れたからという事情だけで開示を正当化しません。秘密の内容、本人の承諾や法令上の根拠、伝える相手と範囲を具体的に確かめます。答案でも、業者と従業者を同じ人物としてまとめず、どちらの義務を問われているかを最初に示します。
確認問題
業者が廃業した後、在業中に知った売主の秘密を、正当な理由なく第三者へ話しました。宅建業をやめていれば45条の義務はなくなるでしょうか。
解答・解説
なくなりません。45条は廃業後も同様と定めています。従業者については75条の3も別に確認し、地位を離れたことだけで秘密保持が終わると判断しません。
関連する学習
出典・参照資料
- 宅地建物取引業法(e-Gov法令検索)確認日 2026/10/23
解説を読んで疑問が残ったときは、この記事に紐づけて質問できます。
この記事について質問する →