相手が判断するために重要な情報か
宅建業法47条は、所定の重要な事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為等を禁止しています。重要事項説明を形式的に終えたことだけで、その後の説明や勧誘がすべて適法になるわけではありません。
たとえば、買主が購入の可否を決める上で重要な事情を業者が把握しているのに、質問されなかったからという理由で意図的に隠す場合を考えます。問題になる事項と説明の実態を確認し、「質問がなければ何も伝えなくてよい」とは判断しません。
故意の不告知は、知りながら伝えないこと
故意の不告知を検討するときは、業者が事実を知っていたか、重要性を踏まえながら告げなかったかを確認します。調査が不十分で事実を把握していなかった場合と、把握した上で伏せた場合を、同じ事実として扱わないでください。
もっとも、知らなかったといえば調査・説明の責任がすべてなくなるわけではありません。必要な調査を怠ったことによる民事上の責任や、別の法令上の義務等は改めて検討します。47条の故意の不告知に該当するかという問いと、業者の対応全体が適切かという問いは範囲が異なります。
不実告知は、説明内容と事実を比べる
不実告知では、伝えた内容が事実と合っているかを確かめます。契約書を見れば分かるからという理由で、口頭で事実と異なる説明をしてよいわけではありません。「資料には正しく書いた」と「担当者がどう説明したか」を別々に確認します。
対応の例 | 確認すべき問題 |
|---|---|
重要な事情を把握しながら意図的に伏せた | 故意の不告知を検討 |
契約の重要な条件を事実と違う内容で説明した | 不実告知を検討 |
必要な調査をしないまま知らなかったと説明 | 調査義務等を含めて別に検討 |
未確認事項を未確認と伝え、調査手順を示した | その後の確認と必要な説明も検討 |
35条の列挙だけに閉じない
47条が扱う事項には、35条、35条の2、37条等に関する事項のほか、相手方等の判断に重要な影響を及ぼすものが含まれます。「35条の説明項目に明示されていないから、知っていても必ず黙ってよい」とする理解は不十分です。
逆に、買主が気にしそうだというだけで、あらゆる情報を無制限に同じ重さで扱うわけでもありません。条文の対象事項、契約の目的、当事者が示した条件、事実の内容を確認します。設問にない重要な事情を想像で補って結論を変えないことも必要です。
契約後の解除を妨げる説明にも注意する
規制は、契約を取るための説明だけに限られません。契約上の解除が可能な場面で、事実と異なる説明をして相手方の解除を妨げるなど、条文が対象とする目的・行為を確認します。契約書に署名した後なら、業者の説明が自由になるというものではありません。
実務上は、交付資料の版、説明日、相手の質問、回答の根拠、後で訂正した事項を記録します。ただし、説明記録や署名は、虚偽説明を適法に変える道具ではありません。説明の内容自体を事実と一致させることが先です。
事例問題では、四つの事実を拾う
誰が情報を知っていたか、何を伝え又は伝えなかったか、その事項がどの規定に関わるか、契約判断等にどう関わるかを拾います。条文名を覚えるだけでなく、この四つが設問中にどう示されているかを確認してください。
「口頭では説明しなかったが、資料の分かりやすい箇所に正確に記載した」という例でも、説明義務や不告知の判断がすべて同じ結論になるとは限りません。資料の交付、口頭説明、相手への伝達の実態を読み、形式だけから問題なしと即断しないようにします。
出典・参照資料
- 宅地建物取引業法(e-Gov法令検索)確認日 2026/10/28
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