二つの「特」を、珍しさで判断しない
特定価格と特殊価格は名称が似ていますが、価格の種類としての条件が異なります。依頼が珍しい、高額である、売りにくいといった印象だけで選ぶことはできません。
不動産鑑定評価基準では、特定価格は市場性を有する不動産を対象とします。法令等による社会的要請を背景とする鑑定評価目的の下で、正常価格の前提条件を満たさず、正常価格と同じ市場概念で形成される市場価値と乖離する経済価値を表します。
特定価格は、目的と条件の組合せを見る
例として、民事再生法に基づく鑑定評価目的で早期売却を前提とする場合や、事業継続を前提とする一定の場合等が挙げられます。通常の公開期間等とは異なる条件が、どの社会的要請と評価目的から設定されるかを確認します。
単に売主が急いでいるというだけで、当然に特定価格になるわけではありません。「依頼者がこの金額を希望している」という事情とも違います。価格の種類は希望額に合わせるための選択肢ではありません。
特殊価格は、一般的な市場性を持たない対象
特殊価格は、文化財等の一般的に市場性を有しない不動産について、利用現況等を前提とする経済価値を表します。文化財に指定された建造物や宗教建築物等について、保存等を主眼に評価する例が挙げられます。
歴史のある建物ならすべて特殊価格ということでもありません。対象の市場性、利用の前提、保存等の目的を確認する必要があります。外観が珍しいという印象を、基準上の市場性の判断に置き換えないようにします。
比較項目 | 特定価格 | 特殊価格 |
|---|---|---|
対象の市場性 | 有する不動産 | 一般的に有しない不動産 |
重要な前提 | 法令等の社会的要請と評価目的 | 利用現況等と保存等の目的 |
学習上の例 | 法的整理に伴う一定の早期売却等 | 文化財等を保存する評価 |
限定価格との違いも確認する
隣接地の併合や借地権と底地の併合等により市場が相対的に限定される場面は、限定価格の検討につながります。特定の買主しかいないという日常語の説明から、「特定価格」と名称を結びつけないでください。
限定価格、特定価格、特殊価格には、それぞれ対象・市場・目的の条件があります。まず正常価格との違いがどこから生じるかを一文で説明すると、分類が暗記にとどまりません。
評価書では、求める価格と条件を明らかにする
価格の種類が変われば、採用する前提や手法の適用を検討する必要があります。名称だけを差し替えて、正常価格の説明や計算をそのまま使うのでは不十分です。目的と条件が、判断全体に整合しているかを確認します。
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出典・参照資料
- 不動産鑑定評価基準・運用上の留意事項(国土交通省)確認日 2026/10/28
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