比較する時点を、二つの日付で示す
取引事例を使う場合、その価格は過去の取引時点の条件を反映しています。評価で求めたい価格時点が別なら、その間に価格水準が変化していないかを確認します。時点修正は、この時点差を調整する作業です。
例えば前年の成約価格を、そのまま現在の価格へ使う場面を考えます。対象と事例の地域・物件条件がよく似ていても、市場が変化していれば、時点の違いを無視することはできません。
指数を使う単純例
事例の取引時点の指数を110、価格時点の指数を121と仮定します。価格時点の水準へそろえる修正率は121÷110=1.10です。事例価格3,000万円なら、時点差だけを調整した額は3,300万円になります。
指数の基準年が100であることより、どの時点の指数を分子と分母に置くかが重要です。110と121の差の11を、そのまま11%の変動と扱うことも誤りです。変化率の基準は取引時点の110になります。
手順 | 計算・確認 |
|---|---|
取引時点の指数 | 110 |
価格時点の指数 | 121 |
修正率 | 121÷110=1.10 |
時点修正後 | 3,000万円×1.10=3,300万円 |
指数が対象市場を表しているかを確認する
全国平均の指数が得られても、対象の地域・用途・価格帯を適切に反映するとは限りません。住宅地、商業地、建物を含む取引等で、どの市場の変化を表す数字かを確認します。
データの調査時点、公表時点、集計範囲、物件構成の変化も見ます。平均取引価格が上がった理由が、高額物件の割合の増加なら、同一条件の価格水準が同じ割合で上がったとはいえません。
地域要因・個別的要因の比較と分ける
駅への距離、街路、土地の形状等の違いは、時点修正そのものではありません。時間の経過による市場水準の変化と、地域や物件の条件差を別に整理します。
同じ市場変化を時点修正率へ反映した後、地域比較でも重ねて加算すると、二重に調整する可能性があります。何の差をどの段階で補修正したかを、計算過程に残すことが必要です。
価格が下落した場合も、比率の向きは同じ
取引時点110、価格時点99なら、99÷110=0.90となり、事例価格へ0.90を掛けます。上昇・下落で式の向きを変えるのではなく、「求めたい時点÷元の時点」という対応を保ちます。
時点修正後の額が、そのまま対象の最終価格になるわけではありません。地域要因の比較と個別的要因の比較で、残る条件差を確認してください。
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出典・参照資料
- 不動産鑑定評価基準(国土交通省)確認日 2026/10/28
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