LELavaEstate
実務手続宅建業法

媒介価格の意見に根拠を示す義務は?

売買・交換の媒介価格の意見に示す取引事例、物件条件、調整理由を学び、提示額と根拠を対応させます。

媒介価格の根拠の手順を示す図
この記事の目次 14項目
  1. 手続の要点
  2. 概要
  3. 必要書類
  4. 手順
  5. 期限
  6. 注意点
  7. どの価格についての意見かをそろえる
  8. 比較する事例の意味を確認する
  9. 数値の調整を説明へ結び付ける
  10. 取引事例と個人情報の扱い
  11. 説明を残すための確認欄
  12. 確認問題
  13. 次に学ぶ
  14. 出典・参照資料

手続の要点

概要

比較する資料と物件条件を確認し、媒介価格等の意見と、その根拠となる事実・判断を依頼者へ説明します。

必要書類

  • 対象物件の所在・面積・利用・権利等を確認する資料
  • 類似の成約事例、市場動向、物件条件を比較する資料
  • 提示価格と調整理由、説明日等を記録した査定資料

手順

  1. 売買・交換の媒介対象と価格意見の前提を確認する
  2. 同種・類似の事例と対象の条件を比較する
  3. 時点・立地・物件差等の調整理由を整理する
  4. 価格等への意見と根拠を依頼者へ説明して記録する

期限

  • 価額又は評価額について意見を述べる際に根拠を明らかにします。媒介契約の書面は契約締結後遅滞なく交付します。

注意点

  • 売り出し価格、成約事例、鑑定評価額を同じ意味で扱わないようにします。

売買・交換の媒介で、物件の価格又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにします。宅建業法34条の2第2項の義務です。「近所ではこのくらい」「担当者の経験では売れる」と金額だけを伝えるのではなく、比較した資料と判断の過程を示します。

どの価格についての意見かをそろえる

媒介契約の書面では、売買すべき価額又は評価額等を記載します。その価格等について意見を述べる際の根拠説明は、一般媒介・専任媒介・専属専任媒介のどれかだけに限ったものではありません。契約類型を理由に根拠の説明を省かないようにします。

依頼者の希望価格、業者が提案する売出し価格、実際に成立した取引価格は、同じとは限りません。まず何についての意見かを示し、販売期間や市場の状況等の前提をそろえます。媒介価格の意見を示すことと、不動産鑑定士が鑑定評価基準に従って鑑定評価を行うことも、同一の業務ではありません。

比較する事例の意味を確認する

事例を使う場合は、同種・類似の不動産の資料を集め、価格の時点、立地、面積、建物の状態、権利関係、利用状況等を比較します。ウェブ上の販売価格は募集段階の価格であり、成約した価格と区別して用います。成約事例が少ない場合には、その資料上の制約も説明します。

例えば、同じ駅から近いマンションでも、面積、築年、階、方角、管理状況、占有の有無等が違えば、価格をそのまま転記できません。似ている点と違う点を分け、どの違いを価格の意見へ反映したのかを示します。比較表には、資料の出所と時点も残します。

数値の調整を説明へ結び付ける

対象物件の価格を事例より高く又は低くみるなら、その理由を物件の条件や市場の動きから説明します。「一律に何割引き」と数字だけを置くと、なぜその調整が対象へ適合するのか分かりません。特定の事情がある取引を、通常の事例として扱っていないかも確認します。

例として、類似の成約事例が3,000万円でも、対象が賃貸中で、事例は空室の状態で売却された場合、その利用・権利条件の違いを調べます。価格の差を説明する際には、確認した事実と、市場を踏まえた見通し・判断を区別します。根拠のない上乗せで高い査定額を示すことが、説明の代わりになるわけではありません。

取引事例と個人情報の扱い

国土交通省の解釈・運用では、媒介価額の評価に必要な同種・類似の取引事例を使う際、顧客の秘密に配慮した収集と管理を求めています。査定に必要な成約価格、時期、物件の情報と、取引当事者の氏名等を区別します。根拠を示す目的があるからといって、不要な個人情報まで伝えてよいわけではありません。

査定資料を依頼者へ示すときも、説明に必要な内容へ絞ります。資料の利用目的や取扱いを整理しておくと、事例を根拠に説明する義務と、守秘義務の双方へ対応しやすくなります。第三者から入手した情報については、その内容や利用可能な範囲も確認します。

説明を残すための確認欄

記録には、対象物件、価格の前提、使った資料、主な相違点と調整理由、提示した意見、説明日をまとめます。依頼者の希望と業者の意見が異なる場合は、双方の金額と理由を区別します。販売開始後に価格を見直す際にも、前提が変わったのか、資料が増えたのかを比較できます。

確認問題

問1 一般媒介であることを理由に、価格についての意見の根拠を示さなくてもよいですか。

答えは、違います。売買・交換の媒介で価格等について意見を述べる場合の義務を確認します。

問2 近隣物件の販売広告にある価格を、そのまま成約価格として説明してよいでしょうか。

答えは、いけません。募集価格と実際の取引価格を区別し、資料の意味を示します。

問3 根拠資料に取引当事者の氏名が含まれていれば、査定の説明のため全て開示してよいですか。

答えは、違います。説明に必要な取引情報と、不要な個人情報・顧客の秘密を分けて扱います。

次に学ぶ

この内容を問題で確かめる

この記事に関連する問題を1問収録しています。まずは1問で、読んだ内容を思い出せるか確かめましょう。

過去問は出題当時の基準、オリジナル問題は記載された基準で採点します。年度・基準日を確認してください。

採点後は各選択肢の理由を確認できます。間違えたところは、この記事に戻って読み直しましょう。

学習記録の保存にはログインが必要です。ログイン後、この演習に戻ります。

出典・参照資料

  1. 宅地建物取引業法(e-Gov法令検索)確認日 2026/10/23
  2. 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(国土交通省)確認日 2026/10/23

解説を読んで疑問が残ったときは、この記事に紐づけて質問できます。

この記事について質問する →

この記事の目次