論点の整理
結論
宅建業法78条第1項は、国および地方公共団体に同法を適用しないと定めています。これに対し、国などが出資する法人や、公共の目的を掲げる団体まで当然に同じ扱いになるわけではありません。取引する法的主体を確認することが判断の中心です。
宅建業法第78条第1項は、国および地方公共団体に同法を適用しないと定めています。これに対し、国などが出資する法人や、公共の目的を掲げる団体まで当然に同じ扱いになるわけではありません。取引する法的主体を確認することが判断の中心です。
公共目的より主体を見る
国が土地を売却する事例では、売主である国に宅建業法を適用するかが問題になります。市町村が自ら売主となる場合も同様です。一方、自治体が株式を保有する会社は自治体そのものではないため、出資関係だけで第78条の適用除外を導くことはできません。
主体の記載 | 最初に確認すること |
|---|---|
国・都道府県・市町村 | 第78条第1項の対象 |
自治体出資の株式会社 | 法人格を分けて判断する |
独立行政法人など | 個別法によるみなし規定等の有無 |
国有地の売却を媒介する民間業者 | その業者自身の宅建業法上の義務 |
公共性が高いという評価は、法が定めた主体の範囲を広げる根拠にはなりません。特別な法人について問題文に個別法の前提がある場合は、その規定まで確認します。
民間の媒介業者まで除外されるか
市Aが所有地を売却し、民間の宅建業者Bが売買の媒介をする場合を考えます。Aに法を適用しないことと、Bに対する規制がなくなることは別です。Bは自分の立場で行う媒介について、宅建業法上の義務を検討しなければなりません。
例えば重要事項説明、取引態様の明示、報酬などは、Bが何を行うかに応じて確認します。公有地の取引だから民間業者も宅建業者ではなくなる、という理解は誤りです。売主・買主・代理人・媒介人を別の行に書くと、適用対象を見失いません。
業者間取引の除外とは別の条項
同じ第78条でも、第2項は宅建業者相互間の取引について、一定の規定を適用しないとするものです。第1項の国・地方公共団体に対する除外とは、対象主体も除外する範囲も違います。
業者間取引だから宅建業法全部がなくなるわけではなく、35条・37条などの義務まで一括して不要とはいえません。また、国を宅建業者とみなして第2項を使うのではなく、第1項の主体の適用除外として整理します。条文の項を区別して読むことが、短い選択肢の判定に役立ちます。
事例を解くための記録
問題文に「市が設立した会社C」とあったら、売買の契約当事者欄にCと書き、市と同一視しないようにします。次に特別な根拠法の記載があるかを確認し、なければ通常の宅建業の定義、業としての判定、免許制度へ進みます。
実際の公有地売却では、公募要領、契約条件、議会の議決など別の手続が問題になることもあります。第78条はそれらの手続が不要だとする規定ではありません。学習では宅建業法の適用関係を問い、他の行政手続の可否を推測で付け加えないようにします。
確認問題
市が自ら行う売却には、宅建業法上の免許が必要ですか。第78条第1項により同法は適用されません。
市が出資した株式会社も、出資の事実だけで適用除外ですか。いいえ。別の法的主体として確認します。
国の売却を媒介する民間業者にも、同じ適用除外が及びますか。いいえ。その業者の義務は別に検討します。
出典・参照資料
- 宅地建物取引業法(e-Gov法令検索)確認日 2026/10/22
- 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(2026年4月1日施行版)(国土交通省)確認日 2026/10/22
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