論点の整理
結論
必要な開発許可・建築確認等を受ける前の未完成物件について、宅建業者は自ら又は代理して売買・交換契約を結び、その媒介をすることもできません。貸借はこの36条の対象に含まれない点が、広告規制との違いです。
契約できる段階かを、取引の種類から考える
未完成物件の取引では、何が建つか、どのように造成できるかが必要な許可・確認等によって左右されます。宅建業法36条は、工事完了前において、必要な許可等があった後でなければ、売買・交換の契約締結等をしてはならないと定めています。
建築確認が必要な新築住宅であれば、「申請書を出したから売買契約を締結できる」と判断しないようにします。確認申請と確認があったことは違います。一方、必要な確認等を受けた後も、完成まで必ず売買契約を待たなければならないわけではありません。
自ら売る業者だけの規制ではない
規制は、業者が自ら当事者として売買・交換をする場合だけでなく、当事者を代理して契約を締結する場合や、売買・交換の媒介をする場合も対象です。個人の売主に業者が仲介として関わるから、36条の検討が不要になるとは限りません。
ここは、業者が自ら売主となる場合に適用を考える8種制限とは入口が異なります。未完成住宅を業者Aが自分で売る場合と、個人Bの物件をAが媒介する場合を分けたうえで、どちらについても36条にいう売買・交換の業務かを確認します。
貸借は、同じ36条の対象ではない
36条の列挙は売買・交換です。貸借の代理・媒介について、同条による契約締結等の時期制限をそのまま適用するわけではありません。この違いが、未完成物件の広告開始時期を定める33条との重要な比較点です。
未完成物件についての行為 | 必要な許可等を受ける前の扱い |
|---|---|
売買・交換の広告 | 33条による制限を確認 |
貸借の代理・媒介の広告 | 33条による制限を確認 |
売買・交換の契約締結等 | 36条による制限を確認 |
貸借の代理・媒介による契約 | 36条の売買・交換と同じ規制ではない |
ただし、36条が直接対象としないことを、他の法令に違反してもよい、内容が不明なまま必ず契約できる、と広げるのは誤りです。必要な説明、契約の内容、実現可能性等は、それぞれの規律に照らして確認します。
許可を取る予定という条件を付ければよいか
売買契約書に「将来、建築確認を受ける予定」と書くことと、現に必要な確認があったことは異なります。確認等を取得する前に契約を締結し、後から取得すれば当然に当初の業務が適法だったことになる、という理解はできません。
「本契約ではなく予約」「条件付き」という表現がある場合も、名前だけで判断せず、その法的な内容と条文の対象を検討します。基礎問題では、許可等を受ける前の未完成物件の売買契約を締結した、と条件が明示されていれば、その事実に沿って判断します。
広告できるかと、契約できるかを別々に判定する
Aが確認申請中の未完成住宅を売り出し、まず広告を掲載し、翌週に売買契約を締結しようとする例を考えます。広告開始日も契約日も、必要な確認の前であれば、それぞれ33条と36条の確認が必要です。広告の問題を解いたから契約の問題も解決したとは限りません。
他方、必要な確認が済んだ後なら、まだ工事が未完成でも、これらの時期制限との関係で一律に広告・契約が禁止されるわけではありません。ただし手付金等の保全や重要事項説明等、別の規制が引き続き問題となります。未完成物件だからと、一つの条文で取引全体を処理しないでください。
時系列に落とすと、混同を防ぎやすい
設問の「許可申請」「許可・確認」「工事完成」「広告」「契約」を別の出来事として並べます。その後、広告なら33条、売買・交換の契約締結等なら36条というように、問われた行為ごとに必要な前提を照合してください。取引態様と時点を順番に確認することが、この論点の基本です。
出典・参照資料
- 宅地建物取引業法(e-Gov法令検索)確認日 2026/10/28
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