無効は、法律行為の効力が初めから認められないことです。取り消すことができる行為は、取消しがされるまでは効力を持ち、取り消されると初めから無効であったものとみなされます。追認と原状回復の扱いも、この違いから分けて確認します。
取消しの前後を分ける
虚偽表示は当事者間で無効となる類型です。未成年者の同意のない契約や錯誤・詐欺・強迫は、要件を満たせば取消しが問題になる類型です。契約に問題がある場合でも、無効となるものと取り消せるものを区別します。
項目 | 無効な行為 | 取り消すことができる行為 |
|---|---|---|
当初の効力 | 原則として生じない | 取消しまでは効力を持つ |
取消権者の行使 | 無効にするための取消しは不要 | 所定の取消権者が行使する |
追認 | 第119条を確認 | 有効な追認後は取り消せない |
無効を誰がどの相手に主張できるか、第三者を保護する特則があるかは、それぞれの制度によります。「無効なら誰にでも必ず対抗できる」とまで一般化しません。
追認の効果の違い
無効な行為は、追認だけで過去にさかのぼって有効になるわけではありません。当事者が無効であることを知って追認したときは、新たな行為をしたものとみなすという第119条ただし書を確認します。
取り消すことができる行為では、所定の者が適法に追認すると、以後取り消せなくなります。原則として取消しの原因となる状況が消滅し、取消権があることを知った後に行う必要がありますが、法定代理人等による追認には例外があります。「追認」という同じ語でも、対象の行為がどちらかを先に確かめます。
原状回復はいつ問題になるか
既に代金や土地の引渡しがあれば、無効または取消しの結果として返還関係が生じます。第121条の2は原状回復を定め、無償行為で受領した者の善意や、意思能力を欠いた者・制限行為能力者について、現に利益を受ける限度での返還という特則を置いています。
例えば未成年者が取り消した場合、受け取った代金の全額を理由の区別なく必ず返すという整理にはなりません。反対に「保護される人だから何も返さない」ともいえません。何が残っているか、どのように使ったかなど、現存利益の判断に必要な事情を確認します。
日付を入れた事例
未成年Aが同意なく売買し、後に適法な追認をした場面では、追認によって取消しができなくなることを確認します。追認前に取消しをしたという場面なら、効果と返還関係の検討になります。同じ契約でも、どの意思表示が先かが重要です。
取消権はいつまでも行使できるものではなく、第126条の期間制限もあります。取引の時、取消原因がなくなった時、取消権を知った時、追認・取消しの時を並べると、原因だけでなく行使の段階まで整理できます。解除については別の制度なので、取消しと同義に使わないようにします。
確認問題
取り消すことができる行為は、取消し前から常に効力がありませんか。いいえ。取消し前後を区別します。
無効な行為の追認は、必ず元の行為を当初から有効にしますか。いいえ。第119条の新たな行為という整理を確認します。
制限行為能力者の原状回復は、常に受領額の全額ですか。いいえ。現存利益に関する特則を確認します。
虚偽表示と未成年者の契約を例に復習できます。宅建の学習入口へ戻れます。
続けて学ぶ論点
出典・参照資料
- 民法(e-Gov法令検索)確認日 2026/10/22
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