復代理人も、最終的には本人を代理する
AがBに土地売却を委任し、BがCを復代理人として選任した場合を考えます。CはBの個人的な契約を代理するのではなく、権限の範囲内でAを代表します。民法106条は、復代理人が本人及び第三者に対し、権限の範囲内で代理人と同一の権利義務を有すると定めています。
したがって、「A→B→Cと意思表示の効果が一度ずつ移る」という理解は適切ではありません。CがAのためにした契約について、その効果が誰へ帰属するかを本人Aとの関係で整理します。
任意代理人は、自由に代わりを選べない
民法104条では、委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ復代理人を選任できません。本人がBを信頼して任せた関係を尊重するためです。
例えばBが単に忙しいからという理由でCへ丸投げする場面と、本人がCの選任を認めた場面を分けます。やむを得ない事由があるかも具体的な事情によるので、代理人の都合があれば何でもよいと広げないようにします。
法定代理人は、自己の責任で選任できる
民法105条は、法定代理人が自己の責任で復代理人を選任できると定めています。任意代理と同じように本人の許諾を必須とする構造ではありません。その代わり、原則として法定代理人が責任を負います。
ただし、やむを得ない事由があった場合には、本人に対して選任及び監督についての責任のみを負います。「いつでも選べる」と「いつでも責任が軽くなる」は違うので、選任権限と責任を別の欄にすると整理しやすくなります。
選任する代理人 | 復代理人を選べる条件 | 責任を見る規定 |
|---|---|---|
委任による任意代理人 | 本人の許諾又はやむを得ない事由 | 委任関係等に基づく義務を確認 |
法定代理人 | 自己の責任で選任できる | 105条。やむを得ない事由があれば選任・監督の責任 |
復代理の範囲は、元の代理権を越えない
Bに特定の土地の売却権限しかないなら、Cが別の土地を売却したり、A名義で自由に借金をしたりできるわけではありません。Cへ与えた権限と、B自身が持つ権限の両方を確かめます。
例えばBが売買条件の交渉だけをCへ任せ、最終の契約締結は自分で行うとしたなら、Cが契約まで締結できるかを別に確認します。「復代理人という肩書がある」ことと、「その契約をする権限がある」ことは同じではありません。
古い条文の責任ルールと混同しない
任意代理人の復代理人選任に関する責任について、旧法の条文番号や文言だけを使って解かないようにします。現行の104条・105条・106条を基礎に、任意代理の内部関係は委任等の規律も踏まえて判断します。
事例では、代理の発生原因、選任を許す事情、Cの実際の行為、問題となる責任を四つに分けてください。代理人の行為能力と無権代理で、権限と効果の基本も確認できます。
出典・参照資料
- 民法(e-Gov法令検索)確認日 2026/10/28
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