催告は、権利を行使するよう相手に求めること
債権者Aが債務者Bへ支払を求める通知をした場合、民法150条の催告による完成猶予が問題になります。同条は、催告があった時から6か月を経過するまで、時効が完成しないと定めています。
これは、催告の時点から新たに5年や10年を数え直す制度ではありません。時効の完成が迫っているときに、裁判上の請求等の手段を取るための時間を確保する機能があります。完成猶予と更新を区別することが最初のポイントです。
「6か月延びる」の意味を正確にする
例えば、もとの時効完成予定日の直前に適法な催告があれば、催告時から6か月を経過するまでは完成しません。一方、もとの完成予定日がまだ何年も先なら、催告によって残りの期間へ6か月が自動的に上乗せされるわけではありません。
「催告から6か月は完成しない」という規定と、「本来の完成日を6か月後へずらす」という理解は違います。計算するときは、本来の期間と催告による猶予期間を別の線に置きます。
再度の催告では、猶予を継ぎ足せない
150条2項は、催告で時効の完成が猶予されている間に再度催告しても、完成猶予の効力を生じないとしています。毎月督促状を出せば、その都度さらに6か月間の猶予が始まるという制度ではありません。
例えば最初の催告から4か月後に同じ支払通知を出しても、その通知だけで最初の6か月の期限を更新することはできません。必要に応じて裁判上の請求等を検討するのであり、通知の回数を増やすだけでは解決しません。
行為 | 時効への基本的な効果 |
|---|---|
催告 | 催告時から6か月間の完成猶予 |
猶予中に再度の催告 | 追加の完成猶予は生じない |
裁判上の請求 | 147条の完成猶予・更新を確認 |
債務者による権利の承認 | 152条の更新を確認 |
内容証明は、通知内容等を証拠化する手段
内容証明郵便を使うことと、時効が更新されることは同じではありません。どんな内容の意思表示をしたか、いつ到達したか、相手がどのような返答をしたかにより、法的効果を検討します。郵便の形式だけから「時効がリセットされた」と判断しないでください。
書面が手元に残っていても、宛先が違う、到達していない、請求する権利が特定できないなどの事情があれば、催告の評価に関わります。送付日、到達日、請求内容をそろえて記録することが実務上の確認点です。
完成後の通知とは分ける
すでに時効が完成した後に催告しても、完成前の時効を猶予するのと同じ効果は生じません。完成前か後かを先に確認し、承認や時効利益の放棄等の別の問題を混ぜないようにします。
問題文では「請求した」という言葉が、単なる催告なのか訴えの提起なのかを見分けます。裁判上の請求と承認による更新で、違いを確かめてください。
出典・参照資料
- 民法(e-Gov法令検索)確認日 2026/10/28
解説を読んで疑問が残ったときは、この記事に紐づけて質問できます。
この記事について質問する →