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論点権利関係民法(論文式・準備)

心裡留保|本心と違う意思表示が原則有効になる理由と例外

本心と違うと知りながらした意思表示も、原則として有効です。相手方が真意でないことを知り、又は知ることができた場合は無効となり、善意の第三者保護を別に検討します。

契約の確認に使う書類と筆記具
この記事の目次 6項目
  1. 内心と表示が違っても、取引は直ちに無効にならない
  2. 相手方が知っていた場合と、気づけた場合
  3. AとBだけの関係で終わらせない
  4. 錯誤との分かれ目は、表意者自身の認識
  5. 事例を自分で言い換える
  6. 出典・参照資料

内心と表示が違っても、取引は直ちに無効にならない

Aが売る気はないと分かっていながら、Bに「この土地を売る」と意思表示した場合を考えます。民法93条は、表意者が真意でないと知ってした表示であっても、原則として効力を妨げないとしています。相手方が表示を信頼して取引したことを保護するためです。

これは、本心を調べなくてよいという意味ではありません。Aが本心と違うと認識していたこと、契約の申込み等として評価できる表示をしたことを確かめた上で、Bの認識を検討します。明らかな雑談か、取引としての表示かも事実から判断します。

相手方が知っていた場合と、気づけた場合

BがAに売る意思がないことを知っていた場合、表示を信頼した取引として保護する理由がありません。また、Bがそのことを知ることができた場合も、93条1項ただし書により意思表示は無効です。

ここでの「知ることができた」を「重大な過失で知らなかった」に置き換えないでください。条文ごとに過失の程度を読み分けることが必要です。錯誤の重過失に関する例外と混ぜると、相手方の注意義務の水準を取り違えます。

Aの表示とBの認識

基本的な扱い

Aは真意でないと知り、Bは知らず知ることもできなかった

原則として有効

BはAの真意でないことを知っていた

無効

Bは真意でないことを知ることができた

無効

AもBも示し合わせていた

通謀虚偽表示として94条を検討

AとBだけの関係で終わらせない

A・B間で無効となる場合でも、Bから土地を譲り受けたCが登場すれば、93条2項を確認します。同項は善意の第三者を保護し、Aはその無効をCに対抗できません。第三者については、無過失まで条文上の要件として加えないようにします。

例えば、BがAの冗談だと知っていたとしても、Cがその事情を知らずに取引した場合、Bの悪意だけを理由にCの保護まで否定できません。A・B間の事情と、C自身の認識を分けて示すことが大切です。

錯誤との分かれ目は、表意者自身の認識

心裡留保では、A自身が本心と表示の違いを知っています。錯誤では、Aが表示やその基礎事情を取り違えています。どちらも「思っていたことと違う」という日常語で表せますが、法律上の出発点が異なります。

「本当は売りたくなかった」は、契約後の後悔を述べているだけの場合もあります。契約をした時点でどの意思があり、何を表示し、相手方が何を認識していたかを確認して判断します。

事例を自分で言い換える

問題文から、Aの内心、外へ出した表示、Bの認識、Cの登場の四つを取り出します。Bの事情だけを善意から悪意へ変えたとき結論が変わるか、さらにCがいるときはどうか、と条件を一つずつ動かすと93条の構造が分かります。

虚偽表示では通謀の有無を、錯誤取消しでは表意者の勘違いを比較してください。

出典・参照資料

  1. 民法(e-Gov法令検索)確認日 2026/10/28

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