個人と事業者を別の欄に置く
不動産鑑定士Aが、鑑定業者Bの業務として評価を行った場合でも、A個人とB事業者は同じ処分対象ではありません。不動産の鑑定評価に関する法律40条が鑑定士の懲戒処分、41条が鑑定業者の監督処分を定めています。
同じ評価書に関係する出来事でも、個人の行為と、事業者側の管理・責任を分けて検討します。鑑定士が処分されたら、その所属業者も常に自動的に登録消除になる、という制度ではありません。
故意に不当な鑑定評価等をした場合
40条1項では、鑑定士が故意に不当な鑑定評価等を行った場合、国土交通大臣は1年以内の鑑定評価等業務の禁止又は登録消除を行うことができます。秘密保持や無登録業務に関する一定の違反も同項で扱われます。
ここで処分の選択肢に、注意義務違反の場合の戒告を機械的に混ぜないことが大切です。40条の各項で、原因と処分の組合せが異なります。
相当の注意を怠った場合
40条2項では、相当の注意を怠り不当な鑑定評価等を行った場合、戒告又は1年以内の鑑定評価等業務の禁止を行うことができます。故意の場合と同じく、当然に同じ選択肢がすべて並ぶわけではありません。
また、禁止処分に違反した場合には、3項により登録消除が問題になります。最初の違反と、受けた処分に従わなかった行為を、別の出来事として時系列で確認します。
処分対象・原因 | 主な処分の範囲 |
|---|---|
鑑定士の故意による不当な鑑定評価等 | 1年以内の業務禁止又は登録消除 |
鑑定士が相当の注意を怠った不当な鑑定評価等 | 戒告又は1年以内の業務禁止 |
鑑定業者の法令違反等 | 戒告、1年以内の全部・一部業務停止、登録消除 |
鑑定士の禁止処分への違反 | 登録消除を検討 |
業者への監督処分は、登録行政庁を確認する
41条では、登録を受けた鑑定業者に対して、国土交通大臣又は都道府県知事が監督処分を行います。鑑定士個人の懲戒権者と、業者の登録・監督の関係を区別します。
業者の業務に従事する鑑定士が40条の処分を受けた場合でも、業者への処分では業者の責めに帰すべき理由があるかが問題になります。組織として無理な結論を求めた、必要な確認を行わせなかった、といった事情を、個人の故意・不注意と分けて整理します。
行政処分と、民事責任を一つにしない
懲戒・監督処分があることと、依頼者への損害賠償や契約上の責任がどの範囲で成立するかは、別の問題です。行政上の処分名だけで、損害額や請求できる人まで決まるわけではありません。
試験では対象者、権限を持つ行政庁、違反原因、処分の種類を対応させます。鑑定業の登録と公正・誠実義務を読めば、誰がどの義務を負うかがつながります。
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出典・参照資料
- 不動産の鑑定評価に関する法律(e-Gov法令検索)確認日 2026/10/28
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