「更新なし」と書くだけでは足りない
定期建物賃貸借では、借地借家法38条の方式を満たして、更新がない契約をすることができます。契約書等に定期借家と見出しを付けたことだけで、当然にすべての要件が満たされるわけではありません。
貸主は契約に先立ち、更新がなく期間満了で終了することを、所定の書面を交付して説明する必要があります。契約の方式と事前説明という二つの確認を分けます。説明をしなかった場合、更新がない旨の定めの効力が問題になります。
書面・電子契約と、説明を分けて確認する
定期借家の契約は公正証書による等、法律が定める方式で行い、電磁的記録による契約の規定もあります。公正証書しか選べない制度ではありません。また、事前説明の書面についても、承諾を得た適法な電磁的方法による提供が可能です。
ただし電子署名があるから事前説明も済んだと扱うことはできません。契約前に何を交付し、誰がどの内容を説明し、相手が確認できたかを記録します。契約書の条項を後から指し示すだけで、別の事前説明の確認を省略しないようにします。
期間1年以上なら、終了通知の時期を確認する
期間が1年以上の定期借家では、貸主が期間満了の1年前から6か月前までの間に、終了する旨を借主へ通知する必要があります。その通知がないと、原則として終了を借主へ対抗できません。
通知期間を過ぎた場合でも、後に通知をしてから6か月を経過すれば対抗できるという規定があります。通知を忘れたら当然に普通借家へ変更される、又は何もしなくても満了日に明渡しを求められる、という両方の理解を避けます。
時点 | 確認する手続 |
|---|---|
契約前 | 更新がなく終了することの書面交付・説明 |
契約時 | 定期借家の方式・期間・条件 |
満了前 | 1年以上なら所定期間の終了通知 |
満了後も借りる場合 | 双方の合意による再契約等を検討 |
更新と再契約は同じではない
定期借家には更新がありませんが、貸主と借主が合意して新しい契約を結ぶことはできます。再契約は当然に認められる権利として保証されるものではありません。条件と双方の意思を改めて確認します。
「再契約相談可」という募集表示と、必ず再契約するという約束も違います。新たに定期借家を締結するなら、その契約について必要な方式・事前説明等を確認します。前回説明したことだけで、新しい契約の手続を一律に省略しないでください。
住宅には、一定の中途解約の制度がある
居住用で床面積200平方メートル未満の建物では、転勤、療養、親族の介護等のやむを得ない事情により、生活の本拠として使うことが困難となった場合、借主から中途解約を申し入れる制度があります。申入れから1か月で終了し、借主に不利な特約は無効とされます。
すべての定期借家で、理由を問わず常に1か月で解約できるという意味ではありません。住宅か、面積、事情、使用の困難性を確認し、契約上の中途解約条項とも分けて検討します。
満了直前に初めて通知した例
期間3年の定期借家で、満了の2か月前に初めて終了通知をした例を考えます。所定の通知期間を外れているため、通知したから予定どおりの満了日に必ず明渡しを求められるとはいえません。遅れた通知後の6か月の経過という規律を確認します。
ここで、契約前の説明も欠けていた場合は、終了通知の遅れだけを直せば済むとは限りません。更新がない旨の定めの効力と、終了を対抗する通知の問題が重なっています。どちらが欠けたかを分け、古い契約書から順に確認します。
管理台帳は、契約日だけでなく通知予定を持つ
満了日から逆算し、終了通知の期間、送付・到達、再契約の協議を記録します。事前説明と満了前通知のどちらが欠けたかで法的な問題が違うため、一つの「説明済み」欄だけにまとめないことが重要です。
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出典・参照資料
- 借地借家法(e-Gov法令検索)確認日 2026/10/28
- 定期建物賃貸借 Q&A(国土交通省)確認日 2026/10/28
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