判例の要点
店舗明渡請求
事案
店舗の貸主が建替え等の事情を踏まえて明渡しを求め、300万円又はそれと格段の差のない範囲で裁判所が決める立退料を支払う意思を示した。原審は500万円との引換えで明渡しを認めた。
争点
金銭の提供をどのように正当事由へ組み込み、申出額を超える立退料との引換えで明渡しを認められるか。
結論
他の諸事情と金銭提供を総合した原審の判断を是認し、500万円との引換えの明渡しを認めた。上告棄却。
理由
立退料は単独の根拠ではなく、他の事情と相互に補充し合う。貸主は300万円に固定せず一定範囲で裁判所が決める額の提供も申し出ていた。
判例法理
学習用要旨:他の諸事情と金銭提供を総合した原審の判断を是認し、500万円との引換えの明渡しを認めた。上告棄却。
試験での確認点
満たされるとはいえません。財産上の給付の申出は、双方の使用の必要性や建物の事情などと合わせて考慮します。
立退料は、ほかの事情と合わせて正当事由を補うものです。本判決が500万円の支払と引換えの明渡しを認めた理由を、店舗の事情、貸主の申出の内容、旧借家法下の判断という三つの点から読みます。
金額より先に、建物と使用の事情を読む
裁判所の公表要旨では、店舗が京都市の繁華街にあり、老朽化して建替えを要するなどの事情が示されています。判決は、原審が認定した敷地の利用計画等も正当事由の判断へ含めたことを認めました。貸主が単に金銭を提示しただけの事件ではありません。
更新拒絶の通知がないまま期間が満了し、期間の定めのない賃貸借へ更新された後の解約申入れも問題となっています。期間が終わったという事実だけで明渡義務が生じた、と読まないことが大切です。
立退料の役割と申出の範囲
最高裁は、金銭の提供はそれだけで正当事由の根拠になるものではないとしました。他の事情と総合し、互いに補って判断するため、借主のすべての損失を補償する金額でなければならないともしていません。
貸主の申出は300万円又はそれと格段の差のない範囲で裁判所が決める金額でした。その前提で500万円との引換えを是認したのであり、裁判所がどの事件でも貸主の意思にかかわらず自由に増額できると一般化しないようにします。
現在の正当事由へつなげる
本判決は旧借家法1条ノ2を適用しています。現行の借地借家法28条では、双方が建物の使用を必要とする事情、従前の経過、利用状況・現況、財産上の給付の申出等を考慮します。判決の500万円を現在の相場や計算式として用いることはできません。
試験では、正当事由が必要か、通知・解約申入れの時期を満たすか、立退料を含めた事情は何かを分けます。定期借家の期間満了と普通借家の更新拒絶も、同じ手順では処理しません。
確認問題
立退料を提示すれば、ほかの事情を調べずに正当事由が満たされるでしょうか。
解説:満たされるとはいえません。財産上の給付の申出は、双方の使用の必要性や建物の事情などと合わせて考慮します。
関連する条文・解説
出典・参照資料
- 最高裁判所第一小法廷 1971-11-25 店舗明渡請求(最高裁判所)確認日 2026/10/28
- 裁判例結果詳細 昭和41年(オ)第1005号(最高裁判所)確認日 2026/10/28
- 借地借家法(e-Gov法令検索)確認日 2026/10/28
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