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判例権利関係民法(論文式・準備)

理事の互選で選んだ理事長を理事の過半数で解職できるとした判例

理事の互選で選ぶ理事長を理事の過半数で解職できるとした判例です。理事自体の地位とは区別します。

理事長の選任と解職を、総会・理事・理事長の関係で示す図
この記事の目次 15項目
  1. 判例の要点
  2. 事案
  3. 争点
  4. 結論
  5. 理由
  6. 判例法理
  7. 試験での確認点
  8. 争われた規約と理事会決議
  9. 二段階の選任に着目する
  10. 管理者であることと規約による自治
  11. 結論と差戻しの対象
  12. 確認問題
  13. 関連する学習
  14. 出典・参照資料
  15. 次に学ぶ

判例の要点

裁判所
最高裁判所第一小法廷
裁判年月日
2017-12-18
事件番号
平成29年(受)第84号
裁判形式
判決

総会決議無効確認等請求本訴、組合理事地位確認請求反訴事件

事案

総会が選任した理事の互選で理事長が選ばれた後、理事会が理事長を交代させる決議をした。

争点

理事長の互選を定める本件規約に基づき、理事の過半数で理事長の職を解けるか。

結論

本件のような規約の下では、理事の過半数の一致で理事長の職を解くことができる。

理由

理事の互選に役職の人選を委ねた規約は、別の理事をその役職に充てることも委ねた趣旨と解される。

判例法理

学習用要旨:本件のような規約の下では、理事の過半数の一致で理事長の職を解くことができる。

公式資料で確認する

試験での確認点

理事長の解職と理事そのものの解任を分け、実際の決議手続の適否は別に検討する。

理事の互選により理事長を選ぶ規約の下では、理事の過半数の一致で理事長の職を解けると最高裁は判断しました。ここでいう解職は、理事長という役職から外すことです。総会が選任した理事そのものの地位を失わせることと分けて読みます。

争われた規約と理事会決議

最高裁平成29年12月18日判決の事案は、マンション管理組合の内部運営をめぐるものです。規約は、役員として理事長などを含む理事を置き、理事は総会で選任する一方、理事長は理事の互選によって選ぶと定めていました。また、役員の選任・解任には総会決議を要するという条項もありました。

総会で選ばれた理事が互選で理事長に就いた後、理事会で別の理事を理事長に選び、従前の理事長を理事へ変更する決議がされました。従前の理事長は、その決議などが無効だと争いました。

二段階の選任に着目する

段階

規約が定めた方法

理事になる

組合員の中から総会が選任する

理事長になる

選任された理事が互選で決める

本件で問題となった変更

理事の地位を残し、理事長の職を解く

原審は、役員の解任が総会決議事項である以上、理事会が理事長を交代させることはできないと判断しました。しかし最高裁は、選任方法を定めた規約を全体として解釈しました。

理事長を理事の就く役職の一つとし、その人選を理事に委ねたのであれば、別の理事に役職を移すことも委ねたと考えるのが、規約を定めた区分所有者の合理的意思に合うという理由です。

管理者であることと規約による自治

本件では理事長を区分所有法上の管理者とする規約がありました。最高裁は、同法が集会以外の方法による管理者の解任の可否や方法を、規約による自治に委ねていると説明しました。その上で、理事の互選により理事長を選ぶという本件規約の意味を判断しています。

したがって、どのマンションでも理事会が自由に理事長を解任できると決めた判例ではありません。規約の選任方法、役員の構成、解任についての特別な定めなどを確認する必要があります。総会が直接理事長を選ぶ仕組みなど、前提が異なる場面へ結論をそのまま移すことはできません。

結論と差戻しの対象

最高裁は、本件規約に基づき理事の過半数の一致で理事長の職を解けるとし、理事長から理事へ変更する決議の内容自体が規約違反だとはいえないと判断しました。ただし、招集などの手続に不備がなかったかまで最終判断したわけではありません。その点などをさらに審理するため、原判決の該当部分を破棄し、差し戻しています。

決議の内容が許されることと、実際の会議の手続が適法であることは別問題です。「理事長を交代させる権限がある」からといって、通知や議題の確認を省略できるわけではありません。本記事はこの判決が解釈した規約と事案を扱います。

確認問題

理事の互選で理事長を選ぶ規約の下で、理事の過半数が理事長の職を解いた場合、直ちにその人の理事としての地位も失われるでしょうか。

答えは、失われるとは限らない、です。本判決で認められたのは、理事長という役職から理事へ戻す変更です。理事そのものを解任する手続と区別します。また、役職変更の権限が認められても、会議の手続上の瑕疵は別に審理されます。

関連する学習

無効と取消しの違いで効力の扱いを確認し、自己契約・双方代理で権限の範囲を読む練習もできます。宅建士の学習入口から権利関係の学習へ戻れます。

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出典・参照資料

  1. 最高裁判所第一小法廷 2017-12-18 総会決議無効確認等請求本訴、組合理事地位確認請求反訴事件(最高裁判所)確認日 2026/10/23
  2. 裁判例結果詳細 平成29年(受)第84号(最高裁判所)確認日 2026/10/23

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