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判例権利関係民法(論文式・準備)

一人の相続人が単独名義にした登記と、ほかの相続人の持分|最高裁昭和38年2月22日判決

共同相続人の一人による単独名義の登記と、他の相続人の持分、第三者に抹消を求められる範囲を学びます。

申請書類を整理したファイルと筆記具
この記事の目次 14項目
  1. 判例の要点
  2. 事案
  3. 争点
  4. 結論
  5. 理由
  6. 判例法理
  7. 試験での確認点
  8. 登記の名義と実際の持分は同じとは限らない
  9. 全部が無効とはしなかった理由
  10. 法定相続分を超える取得と登記義務を区別する
  11. 確認問題
  12. 関連する条文・解説
  13. 出典・参照資料
  14. 次に学ぶ

判例の要点

裁判所
最高裁判所第二小法廷
裁判年月日
1963-02-22
事件番号
昭和35年(オ)第1197号
裁判形式
判決

登記抹消登記手続請求

事案

共同相続人の一人が不動産を単独名義とし、その者から売買予約による所有権移転請求権を得た第三者が仮登記した。ほかの相続人が登記の全部抹消を求めた。

争点

ほかの共同相続人は自己の持分を登記なしに主張できるか。また、問題の登記全体を抹消できるか。

結論

自己の持分は登記なしに対抗できるが、抹消を求められるのはその持分の範囲に限られ、全部抹消ではなく一部抹消に当たる更正となるとした。上告棄却。

理由

単独名義の相続人は他人の持分について無権利であり、登記に公信力がないため第三者もその部分を当然には取得しない。

判例法理

学習用要旨:自己の持分は登記なしに対抗できるが、抹消を求められるのはその持分の範囲に限られ、全部抹消ではなく一部抹消に当たる更正となるとした。上告棄却。

公式資料で確認する

試験での確認点

できません。名義人自身の持分について実体に合う部分は残り、自己の持分を害する範囲での一部抹消・更正が問題になります。

共同相続人の一人が単独所有の登記をしても、ほかの相続人の持分まで取得するわけではありません。第三者が登記を得た場合の保護と、抹消を求められる範囲を分けて学ぶ判例です。

登記の名義と実際の持分は同じとは限らない

一人の相続人Dが不動産全部を単独名義にしたとしても、ほかの相続人の持分を処分できる権利まで得たわけではありません。本件ではDの持分は9分の2、ほかの相続人らの持分は合計9分の7でした。第三者の仮登記も、この実体の違いを踏まえて検討されます。

最高裁は、他の相続人が自己の持分を登記なく対抗できるとしました。善意で登記名義を信じたというだけで、無権利者から他人の持分を取得できる制度ではないからです。

全部が無効とはしなかった理由

D自身の9分の2の持分については、登記が実体に合っています。他の相続人が自分たちの持分を守るために請求できるのは9分の7の範囲であり、Dの持分も含めた全部抹消までは求められません。

本件では第三者の仮登記をDの9分の2の持分についてのものへ更正する限度で認めた原審が是認されました。権利が守られることと、どの登記をどの範囲で直すかは別の検討です。

法定相続分を超える取得と登記義務を区別する

遺産分割などで法定相続分を超えて取得した権利を第三者へ主張する場面は、別に登記の対抗要件を検討します。現行民法899条の2も確認し、本件の持分の話から相続した権利はすべて登記不要と読み広げないようにします。

さらに、第三者との優劣の問題と相続登記の申請義務は別です。2024年4月からの申請義務化の下では、持分を主張できるという理由で登記を放置してよいわけではありません。

確認問題

他の相続人が自分の持分を登記なしで主張できるなら、単独名義の登記を常に全部抹消できますか。

解説:できません。名義人自身の持分について実体に合う部分は残り、自己の持分を害する範囲での一部抹消・更正が問題になります。

関連する条文・解説

出典・参照資料

  1. 最高裁判所第二小法廷 1963-02-22 登記抹消登記手続請求(最高裁判所)確認日 2026/10/28
  2. 裁判例結果詳細 昭和35年(オ)第1197号(最高裁判所)確認日 2026/10/28
  3. 民法(e-Gov法令検索)確認日 2026/10/28

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