計算の要点
計算式
上限額=売買代金×20%。超過額=合算対象の定め−上限額
計算の条件
- 代金3,000万円
- 損害賠償予定400万円+違約金300万円
答え
100 万円(超過部分)
20%を掛ける前に、売主と買主を確認する
宅建業法38条は、宅建業者が自ら売主となる宅地・建物の売買についての規定です。仲介業者が契約に関与しているだけで、個人の売主による売買すべてに適用されるわけではありません。まず売買契約上の売主が誰かを確認します。
さらに、宅建業者同士の取引には78条2項の適用除外があります。売主が業者であっても、買主も宅建業者なら、この条項による20%の制限は適用されません。買主が会社であることと、宅建業者であることは同じではありません。一般の事業会社が買う場面でも、非業者の買主となる場合があります。
二つの名目を合計して、上限と比べる
対象は、当事者の債務不履行を理由とする解除に伴って定める損害賠償額の予定と違約金です。損害賠償予定額を20%、違約金をさらに20%と、別枠で合計40%まで認める仕組みではありません。条文は両者を合算した額を制限しています。
ただし、契約書に二つの数字が並んでいるだけで、それらが必ず別々に発生する負担とは限りません。例えば同じ違約金を異なる箇所へ重ねて記載している場合と、追加して二つの金額を支払う場合を区別します。設問が「合算して支払う」としているなら、その条件に従って計算します。
代金3,000万円の例を段階的に計算する
売主を宅建業者A、買主を非業者Bとし、代金は3,000万円とします。損害賠償予定額400万円と、これに加えて支払う違約金300万円を定めた場合、上限は3,000×0.20=600万円、合算額は400+300=700万円です。
したがって、上限を超える額は700-600=100万円です。38条2項により無効となるのは、この超過100万円の部分です。契約全体が無効になるわけでも、違約金の定め全体が当然に消えるわけでもありません。
代金 | 合算する定め | 上限 | 超過部分 |
|---|---|---|---|
3,000万円 | 400+300=700万円 | 600万円 | 100万円 |
3,000万円 | 360+300=660万円 | 600万円 | 60万円 |
3,000万円 | 300+300=600万円 | 600万円 | 0万円 |
受け取った手付の額を、計算の基準にしない
上限の基準は売買代金です。手付金が100万円であっても、その20%を上限とするのではありません。また、残代金2,900万円を分母にすることもありません。売買代金全体が3,000万円なら、38条の計算は3,000万円を用います。
手付の放棄による解除と、債務不履行による解除に伴う違約金は、解除の根拠が異なります。手付を放棄して解除できる段階の話なのか、義務違反を理由に解除しようとしているのかを分けてください。「手付」と書かれていることだけで、その金額を38条の損害賠償予定額へ自動的に足すわけではありません。
実際に損害が出た額との違い
損害賠償額をあらかじめ定めるのは、実際の損害額を一件ずつ立証する負担や紛争を減らすためです。本記事で求めているのは、あらかじめ置いた定めが38条の上限に収まるかという計算です。実際にいくら損害が生じたかを見積もる問題とは分けます。
「損害が大きかったので20%を超える予定額を定めてよい」「違約金という名前なら損害賠償予定とは合算しない」といった読み方は、適用条件を満たす場合の規制を外してしまいます。一方、38条の適用がない取引でも、民法や消費者契約法など他の規律が問題となることがあります。適用除外を、どのような金額でも有効という意味へ広げないでください。
金額問題を読む順序
売主が自ら売る宅建業者で、買主が宅建業者ではないことを確認し、次に解除の根拠と二つの定めの関係を読みます。そのうえで代金×20%を計算し、合算額との差を求めます。答えを書くときは、600万円が上限額なのか、100万円が超過無効額なのかを言葉で添えましょう。
上限額を答える設問と、無効額を答える設問
同じ代金3,000万円・合算700万円の例でも、問われ方によって答えの数字は異なります。『38条により定められる限度額』なら600万円、『上限を超える額』なら100万円です。売買代金そのものの20%を答えるのか、実際の条項との差を答えるのかを確認してください。代金の単位が円で示される場合も、3,000万円=30,000,000円、20%=6,000,000円とそろえます。百分率を20のまま掛けたり、万円の答えを円と表示したりすると、制度を理解していても答えが変わります。式の各項に単位を書く習慣が役立ちます。
自ら売主となる場合の制限の確認
宅建業者が自ら売主となり、宅建業者ではない買主に売る場合は、買主保護のための特別な制限を確認します。損害賠償額の予定と違約金は合算して代金の20%が上限です。手付額の上限や手付金等の保全措置とは、対象と計算を分けます。
間違えやすい点
媒介業者がいるという理由だけで、自ら売主となる制限を適用しないでください。売主・買主がそれぞれ宅建業者かを確認します。
例で確かめる
代金3,000万円で賠償予定額400万円と違約金300万円を定めても、合計の上限は600万円です。
基礎確認用の補足教材。確認問題に用いる基準は各問題に表示しています。
- 宅地建物取引業法:宅地建物取引業法38条・39条・78条2項
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出典・参照資料
- 宅地建物取引業法(e-Gov法令検索)確認日 2026/10/28
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