LELavaEstate
論点不動産の鑑定評価に関する理論

収益逓増・逓減の原則|総収益と追加投資の収益を分ける

投資を増やすと総収益が増えていても、追加の単位投資が生む収益は途中から小さくなることがあります。平均と限界、収益と費用を分けて、投資規模を考えます。

街並みを見渡しながら不動産の資料を確認する机
この記事の目次 7項目
  1. 「収益が増える」の対象を確認する
  2. 同じ100万円ずつ投資する単純例
  3. 逓減が始まることと、投資をやめることは別
  4. 物件の規模や需要との関係を見る
  5. 平均・限界・総額を分けて説明する
  6. 出典・参照資料
  7. 次に学ぶ

「収益が増える」の対象を確認する

不動産鑑定評価基準の収益逓増・逓減の原則は、単位投資を継続して増やすと、対応する収益がある点までは増加し、その後は減少するという考え方です。見るのは、追加の単位投資に対応する収益の動きです。

総収益が減ることと、追加投資の収益が減ることは同じではありません。例えば設備を増やして賃料収入全体が伸びていても、次の一台や次の一室がもたらす増収額は小さくなることがあります。

同じ100万円ずつ投資する単純例

学習用に、100万円ずつ3回追加投資し、それぞれの投資が年間8万円、12万円、9万円の追加収益を生むと仮定します。ほかの条件は固定し、数字は原則を説明するためのものです。

1回目から2回目では単位投資に対する収益が増え、2回目から3回目では減っています。一方、追加収益の累計は8万円、20万円、29万円と増え続けています。累計だけを見れば逓減を見落とします。

追加投資

その投資による年間追加収益

年間追加収益の累計

1回目100万円

8万円

8万円

2回目100万円

12万円

20万円

3回目100万円

9万円

29万円

逓減が始まることと、投資をやめることは別

3回目の追加収益は2回目より小さいものの、投資に見合うかは、費用、リスク、収益の持続期間、求める利回り等から別に判断します。逓減が始まった瞬間から、追加投資は必ず不合理になるという意味ではありません。

上の例では、単に年間9万円と一時の投資100万円を直接比較して、損得を決めないでください。いついくら収益が入り、維持費や更新費がどれだけあるかをそろえて現在価値等を検討する必要があります。

物件の規模や需要との関係を見る

駐車場を増設する例なら、必要な台数までは利便性が大きく改善しても、需要を超えて増設すれば追加の利用が少なくなることがあります。建物の増床でも、動線、法規制、利用者の需要、工事費等との関係を確認します。

逆に、小規模すぎて効率が悪い段階では、一定の増設で運営効率が改善する場合があります。初めから追加投資の収益が常に減ると決めず、どの段階の投資を見ているかを示します。

平均・限界・総額を分けて説明する

答案では「総収益」「平均収益」「追加の単位投資に対応する収益」を書き分けます。同じ収益という言葉でも、どの数字を指すかによって結論が変わるためです。

投資規模の検討では、この原則に加えて、構成要素の組合せと環境への適合も見ます。均衡・適合の原則と寄与の原則を読むと、費用と全体の価値をつなげて考えられます。

出典・参照資料

  1. 不動産鑑定評価基準(平成26年5月1日一部改正)(国土交通省)確認日 2026/10/28

次に学ぶ

学習の順序に戻って、次の単元を選べます。

不動産鑑定評価の学習順序に戻る →

解説を読んで疑問が残ったときは、この記事に紐づけて質問できます。

この記事について質問する →

この記事の目次