家賃と費用の条件を、都合のよい部分だけ伝えない
オーナーは、借上げ賃料がいくら入るかだけでなく、減額される可能性、賃料を受け取れない期間、修繕等の負担、解約条件を踏まえて契約を判断します。長い期間の収支に関わるため、短い見出しだけでは伝わらない条件があります。
例えば、契約上賃料見直しの条件があるのに「賃料が下がる可能性はありません」と説明するのは、単に積極的な営業をしたという話ではありません。判断に影響する事実について、故意の不告知や不実告知に当たらないかが問題になります。
質問されたときだけ答えればよい、とは限らない
相手が減額や修繕費を質問しなかったとしても、重要な事実を故意に隠して契約させる行為が許されるわけではありません。初心者のオーナーほど、何を質問すればよいか分からないことがあります。「聞かれなかった」と「伝える必要がない」は同じではありません。
未確認の条件を尋ねられた場合は、確認したうえで回答し、その内容を記録します。相手に安心してほしいという理由で、根拠のない断定を重ねないことが大切です。説明資料と契約書の条件も一致させます。
断られた後の勧誘や、困惑させる行為
法令は、契約を締結しない意思や勧誘を受けたくない意思を示した相手への対応、迷惑を覚えさせる時間の電話・訪問、威迫や私生活の平穏を害する行為等も規制します。単に話し方が丁寧だったか、訪問時間が短かったかだけでは判断できません。
相手の拒絶を受けた場合は、その意思を記録し、担当者が変わって同じ勧誘を繰り返すことがないようにします。契約を急がせて考える機会を奪うことと、必要な条件を説明して判断を待つことを区別してください。
契約の当事者以外が勧める場合もある
建設会社などが、建築請負契約の営業と併せて特定のサブリース契約を勧めることがあります。法律の規制対象は、特定転貸事業者だけを見れば足りるとは限りません。法上の勧誘者に当たるかを、事業者との関係と行為の内容から確認します。
一方、建設会社という肩書だけで、行ったすべての説明が同じ規制に当たると決めるものでもありません。誰の契約を、どの関係で、何のために勧誘したかを具体化することが必要です。受託管理の200戸という登録基準とも別の問題です。
署名と説明記録を、内容の確認に使う
交付資料、説明日、質問、回答、条件変更を記録すると、後から何を伝えたかを確認できます。ただし、署名があるから虚偽説明はなかった、という結論にはなりません。記録は説明の実態を示すためのもので、違法な説明を帳消しにするものではありません。
法29条は、契約締結の勧誘だけでなく、契約の解除を妨げるための不告知・不実告知等も扱います。オーナーから解約条件を尋ねられたときに、契約上可能な手続を事実と違う内容で説明して思いとどまらせるような行為も、検討の対象になる点を押さえましょう。
オーナーの質問に、どの資料で答えるか
「30年間、賃料は変わりませんか」という質問に対し、契約には減額改定の条件があるのに「変わりません」と答える例を考えます。長期の契約期間と賃料固定を取り違えた説明で、契約書へ署名したという事実だけで説明の問題がなくなるわけではありません。
質問 | 確認して説明する内容 |
|---|---|
いつまで借り上げるか | 契約期間、更新、解除の条件 |
月額は変わらないか | 改定条項、減額の可能性、改定時期 |
解約できるか | 誰から、どの条件・手続で解除できるか |
工事費は誰が払うか | 費用区分、承認・発注の手順 |
資料の該当箇所を示し、質問に対応した言葉で説明します。質問を避けて「大手なので安心」とだけ答えることは、金額や契約条件を説明したことにはなりません。分からない事項は確認先と回答予定を示し、不確かな内容を確実なものとして伝えないようにします。
勧誘を断られた後は、意思表示を記録する
契約を締結しない意思や勧誘を受けたくない意思が示された場面では、再勧誘等の禁止の条件を確認します。担当者を変える、電話から訪問へ切り替える等によって、拒絶の意思を無視してよいというものではありません。
連絡日時、相手の意思表示、対応した担当者を記録し、同じ案件の他の担当者にも必要な範囲で共有します。説明のための連絡と、断った相手への勧誘を区別し、相手の質問への回答を口実に新たな勧誘を続けないことが必要です。
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出典・参照資料
- 賃貸住宅管理業法(e-Gov法令検索)確認日 2026/10/28
- 国土交通省に対する申出制度(国土交通省)確認日 2026/10/28
- 国土交通省:特定賃貸借契約の適正化のための措置確認日 2026/10/28
- 国土交通省:サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン確認日 2026/10/28
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