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論点賃貸住宅管理

家賃・敷金の分別管理|会社の口座と物件別の帳簿

家賃・敷金等の預り金を自社財産と区別し、口座に加えて管理契約ごとの残高が分かる帳簿を管理します。

緑の植栽に囲まれた住宅街
この記事の目次 10項目
  1. 預かった家賃は、会社の運転資金ではない
  2. 口座を分けることと、契約ごとに記録すること
  3. 家賃と敷金も、性質を分けて記録する
  4. 差額を見つけたら、推測で帳簿を合わせない
  5. 送金明細と定期報告へつなげる
  6. 月末の残高を、三つの資料で照合する
  7. 同じ預り金口座を使う場合の、契約別の確認
  8. 管理報酬の振替も、根拠と承認を残す
  9. 出典・参照資料
  10. 次に学ぶ

預かった家賃は、会社の運転資金ではない

管理会社が入居者から家賃を受領しても、その全額が管理会社の売上になるわけではありません。オーナーへ引き渡す金銭と、契約に基づく管理報酬等を区別します。入金があったからという理由で、預かった家賃を給与や事務所賃料等の支払いに自由に使えるとは考えません。

賃貸住宅管理業法の分別管理は、固有財産と家賃・敷金等の金銭が混ざり、預けた人のお金が分からなくなることを防ぐための規律です。担当者が自分の頭の中で区別しているだけでは、会社全体の残高や、担当者の交代後の状況を説明できません。

口座を分けることと、契約ごとに記録すること

国土交通省の案内は、自社の固有財産の口座と受領金銭の口座を分別し、管理受託契約ごとに金銭を区別した帳簿を作る等の方法を示しています。専用の口座を設ければ、どの契約の家賃かを記録しなくてもよい、という関係ではありません。

例えば、オーナーAの家賃30万円とBの家賃20万円を預り金用口座で受け取った場合、口座残高50万円だけでは、各人へ引き渡す金額が分かりません。住戸、対象月、入金日、控除、送金、残高を帳簿で区別し、銀行の残高と契約ごとの帳簿残高の合計を照合します。

家賃と敷金も、性質を分けて記録する

返還を要する敷金は、賃料収入と同じものではありません。誰のどの契約に係る敷金か、いくら預かり、いくら返還又は精算したかが分かるようにします。敷金を預かる契約か、オーナーへ引き渡す契約かによっても管理会社が行う処理は異なります。

家賃が不足しているという理由だけで、敷金から無断で穴埋めすることはできません。契約の内容、敷金に関する民法の規律、精算や返還の条件を確認します。「同じ入居者のお金だから」という理由で、性質の違う残高を帳簿上だけ自由に移し替えないようにします。

差額を見つけたら、推測で帳簿を合わせない

銀行明細と管理台帳に差があれば、入金日、対象月、振込名義、返金や送金、手数料等を確認します。別の住戸へ誤計上していないか、未記帳の取引がないかを調べ、原因と修正の根拠を記録します。差額があることだけで、誰かが横領したと断定することもできません。

一方、理由が分からないまま適当な費用を計上して、帳簿を残高に合わせる処理も適切ではありません。担当者が確認できない場合の報告先、承認の方法、二人以上で確認する範囲等を定めます。金銭の引出しや送金の権限と、帳簿を入力・承認する権限も整理します。

送金明細と定期報告へつなげる

オーナーへは、家賃の発生・入金、未入金、合意に基づく控除、実際の送金、残高が対応するように報告します。送金額だけを示すと、満額入金後の控除なのか、未入金があるのか分かりません。契約で定めた報告内容と頻度に沿って、確認できる明細を作ります。

試験では、固有財産と預り金の口座を分ける話と、管理受託契約ごとの帳簿を分ける話を両方確認します。分別管理は、単なる会計上のラベルではなく、誰の資金がどれだけ残っているかを説明し、契約どおりに引き渡すための管理方法です。

月末の残高を、三つの資料で照合する

管理台帳では、オーナーAへ引き渡す家賃が28万円、Bへ引き渡す家賃が19万円、保管中の敷金が50万円と記録されているとします。これらが同じ預り金用口座にあり、ほかの取引がないという単純な条件なら、合計は97万円です。銀行残高がこれと異なるときは、記帳の時期や未処理の入出金等を調べる必要があります。

銀行明細、契約ごとの帳簿、実際の送金・返金の証憑を突き合わせれば、差額の発生場所を探せます。管理報酬として受領できる金額を固有財産へ移す場合も、その契約上の根拠と処理の記録を残します。口座のラベルが専用であることだけでは不十分で、残高の内容を第三者に説明できる状態にすることが、分別管理の実務上の目標です。

同じ預り金口座を使う場合の、契約別の確認

預り金用の一口座で複数のオーナーの家賃を扱う場合でも、管理受託契約ごとの残高を追えることが必要です。会社固有の財産との口座の分離と、契約ごとの帳簿上の分離を分けて確認します。口座を分けたという説明だけで、全員の資金の内訳まで説明できるわけではありません。

月末に保管する仮定の資金

帳簿の残高

Aオーナーへ未送金の家賃

28万円

Bオーナーへ未送金の家賃

19万円

返還等に備えて預かる敷金

50万円

他の取引がない場合の口座残高

合計97万円

銀行残高が96万円なら、1万円を適当な手数料として処理せず、対象日、入出金、送金記録、未記帳の取引等を調べます。差額の発見と、誰の資金が不足しているかの判定は別の作業です。

管理報酬の振替も、根拠と承認を残す

管理報酬を受領する際には、契約で定めた額、発生時期、控除又は支払いの方法を確認します。預り金口座へ入金された家賃を、管理会社が自由に運転資金へ回してよいわけではありません。固有財産へ移す処理には、その金額を受領できる根拠が必要です。

入力する人、承認する人、振込権限を持つ人を整理し、処理の記録を対応させます。銀行の残高が合うことだけでなく、契約別残高と証憑の内容が合っていることまで確かめると、誤送金や誤計上を見つけやすくなります。

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出典・参照資料

  1. 賃貸住宅管理業法(e-Gov法令検索)確認日 2026/10/28
  2. 財産の分別管理(国土交通省)確認日 2026/10/28
  3. 国土交通省:賃貸住宅管理業法FAQ確認日 2026/10/28
  4. 国土交通省:賃貸住宅標準管理受託契約書確認日 2026/10/28

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