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論点賃貸住宅管理

賃貸経営の収支|利益・手元資金・オーナー送金を分ける

家賃収益・減価償却費・元本返済・預り敷金を区別し、利益と資金収支、オーナー送金額を読み分けます。

緑の植栽に囲まれた住宅街
この記事の目次 11項目
  1. 論点の整理
  2. 結論
  3. 「家賃収入」だけでは、利益も手元資金も分からない
  4. 借入金は、元本と利息を分ける
  5. 減価償却費は、その年の現金支出とは限らない
  6. 空室を反映した家賃の計算
  7. 管理会社の送金は、合意した控除を確認する
  8. 利益と資金が逆方向に見える例
  9. 3問で理解を確かめる
  10. 出典・参照資料
  11. 次に学ぶ

論点の整理

結論

賃貸経営では、収益や所得と、実際の入出金が一致するとは限りません。減価償却費、借入金の元本返済、預かった敷金を分け、同じ期間・同じ金額の単位で計算することが基本です。

「家賃収入」だけでは、利益も手元資金も分からない

家賃が入った金額から、単純にすべての支払いを引いたものが、そのまま税務上の不動産所得になるわけではありません。不動産所得は、原則として総収入金額から必要経費を差し引いて求めます。一方、手元資金の増減では、実際にいくら入金し、いくら出金したかを確認します。二つは目的の異なる計算です。

例えば、毎月の家賃収入が同じでも、借入金の返済額や設備更新の支出が違えば、手元に残る金額は変わります。満室想定の年間家賃だけを見て、修繕や空室、税金、返済等を考慮せずに余裕があると判断しないことが大切です。何を計算した数字なのかを、最初に明らかにします。

借入金は、元本と利息を分ける

賃貸用建物の購入のための借入金について、元本の返済と利息の支払いは性質が異なります。元本返済は、借りたお金を返すことです。返済により現金は減りますが、その支払額をそのまま不動産所得の必要経費にするわけではありません。業務のための借入金の利息は、必要経費に該当するかを検討します。

例えば、当年に元本60万円と利息10万円を払った場合、現金の支出は合計70万円です。他の要件を満たし、家事用部分もないという条件なら、利息10万円は必要経費の対象となりますが、元本60万円まで同じ扱いにはなりません。土地等の取得に係る負債の利子と赤字の損益通算等、別の制限が関係する場合は、その条件も分けて確認します。

減価償却費は、その年の現金支出とは限らない

建物や一定の設備等の取得費は、原則として取得時に全額を経費にするのではなく、減価償却により各年の費用へ配分します。したがって、その年に建物代金を支払っていなくても、減価償却費が必要経費になる場合があります。逆に、その年に大きな支出があったから、全額がその年の経費になるとは限りません。

修繕費と資本的支出の区別も必要です。価値を高めたり使用可能期間を延長したりする支出は、資本的支出として扱う場合があります。工事の名称が「修繕」だからという理由だけで判定せず、内容や条件を確認します。試験の計算でも、費用として与えられた項目と、単なる現金支出の項目を分けて読みます。

空室を反映した家賃の計算

全10戸、1戸当たり月額家賃8万円なら、満室の想定家賃は10×8=80万円です。当月は2戸が全期間空室で、残り8戸から満額の入金があったという条件なら、当月の家賃受領額は8×8=64万円です。共益費、日割り、滞納、割引等は、ここではないものとしています。

想定80万円と実際64万円を混同すると、オーナーへの報告や送金額を誤ります。さらに、賃貸借契約上は賃料が発生しているが未入金の住戸があれば、「空室」と「滞納」も分ける必要があります。募集上の想定家賃、契約上の発生額、実際の入金額を別々に整理すると、差額の原因を説明しやすくなります。

管理会社の送金は、合意した控除を確認する

管理会社が家賃30万円を受領し、契約により管理報酬1万5千円だけを控除して送金する場合、送金額は30万円-1万5千円=28万5千円です。これは管理会社が預かった金銭を精算する計算であり、オーナーの年間所得を求める計算ではありません。工事費等を別に控除するなら、その権限や合意が必要です。

返還を要する敷金も、受領した時点で当然に管理会社やオーナーの自由な利益になるものではありません。預り金の残高と送金明細を照合し、家賃の不足を敷金で無断で補ったり、費用の根拠が不明なまま控除したりしないようにします。計算の前に、誰のお金を、どの契約に基づいて動かしているかを確認してください。

利益と資金が逆方向に見える例

計算を単純化し、家賃収入120万円、現金で支払う経費30万円、減価償却費20万円、借入元本の返済60万円という年間の例を考えます。収入と経費の計上時期の差等がないとすれば、所得の計算は120-30-20=70万円です。一方、ここに掲げた実際の入出金による資金の増加は120-30-60=30万円で、同じ金額にはなりません。

この例では、減価償却費20万円は当年の現金支出を伴わず、元本返済60万円は所得計算の必要経費に入れていません。税金、敷金、設備取得、未収・未払等が加われば、資金の計算はさらに変わります。実務の収支表では、前提と対象期間を示し、何を除外した簡略計算なのかも分かるようにしてください。

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出典・参照資料

  1. 不動産収入を受け取ったとき(国税庁)確認日 2026/10/28
  2. 修繕費とならないものの判定(国税庁)確認日 2026/10/28
  3. 国税庁:必要経費の知識確認日 2026/10/28
  4. 国土交通省:賃貸住宅標準管理受託契約書確認日 2026/10/28

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