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判例税・その他

共有物分割の不動産取得税を個々の土地ごとに判断するとした判例

複数物件の共有物分割でも、不動産取得税の持分超過部分は個々の不動産ごとに判断するとした判例です。

共有分割と取得税を、共有者A・共有者B・土地甲・土地乙の関係で示す図
この記事の目次 15項目
  1. 判例の要点
  2. 事案
  3. 争点
  4. 結論
  5. 理由
  6. 判例法理
  7. 試験での確認点
  8. 複数の土地を一括して分割した事案
  9. 共有物分割による取得も、まず課税対象となる
  10. なぜ土地ごとに比べるのか
  11. 学習用の簡単な例
  12. 本件の結論と他の税との区別
  13. 確認問題
  14. 関連する学習
  15. 出典・参照資料

判例の要点

裁判所
最高裁判所第三小法廷
裁判年月日
2022-03-22
事件番号
令和3年(行ヒ)第62号
裁判形式
判決

不動産取得税賦課処分取消請求事件

事案

複数不動産の一括分割で、従前10分の1の持分を有した土地を単独所有した者に、残り10分の9の取得税が課された。

争点

共有物分割の持分超過部分を、全物件の合計か個々の不動産ごとのどちらで判断するか。

結論

複数不動産を一括して分割した場合でも、個々の不動産ごとに分割前の持分相当額と分割後の所有額を比較する。

理由

不動産取得税は個々の不動産の取得ごとに課される仕組みであり、条文の文言にも沿うため。

判例法理

学習用要旨:複数不動産を一括して分割した場合でも、個々の不動産ごとに分割前の持分相当額と分割後の所有額を比較する。

公式資料で確認する

試験での確認点

全物件を合わせた価額が等しくても個別の持分超過はあり得る。ほかの税の取扱いとは分ける。

複数の不動産をまとめて共有物分割した場合でも、不動産取得税の持分超過部分は、個々の不動産ごとに判断します。最高裁令和4年3月22日判決は、全物件の価額を合計した結果だけで非課税になるかを決める考え方を採りませんでした。

複数の土地を一括して分割した事案

本件では、一人が10分の6、ほかの四人がそれぞれ10分の1という割合で、複数の不動産を共有していました。共有物分割訴訟の判決により、不動産を一括して分割対象とした上で、それぞれを特定の共有者の単独所有とするなどの分割が行われました。

上告人は、もともと10分の1を持っていた土地のうち、いくつかを単独所有することになりました。都税事務所長は、各土地の残り10分の9の取得に不動産取得税を課しました。上告人は、共有物分割による取得は非課税だと主張して、処分の取消しを求めました。

共有物分割による取得も、まず課税対象となる

最高裁は、共有物分割による不動産の取得も、原則として不動産取得税の対象となる「取得」に当たると説明しました。その上で、地方税法73条の7第2号の3が、分割前の持分を超える部分の取得を除いて、例外的に非課税としています。

この順序が重要です。分割という名称であれば全体が当然に非課税なのではなく、まず取得を把握し、次に持分超過部分かどうかを確認します。

なぜ土地ごとに比べるのか

不動産取得税の課税標準は、取得時の不動産の価格を基礎とします。固定資産課税台帳や登記も、土地なら原則として一筆ごと、建物なら一個ごとに扱います。また、複数の土地などを一つの取得とみなす場合には、地方税法が特に規定を置いています。

最高裁は、こうした課税の仕組みと条文の文言から、複数の不動産を一括して分割する場合でも、個々の不動産ごとに分割前の持分相当額と分割後の所有額を比較すべきだとしました。

比較の方法

本判決の結論

分割対象の全物件を合算して比べる

その方法だけでは判断しない

個々の土地・建物で分割前後を比べる

この単位で持分超過部分を判断する

他の物件の持分を手放したこと

取得した別物件の超過部分を当然には消さない

学習用の簡単な例

説明用に、甲土地と乙土地の価格がそれぞれ1000万円で、AとBが各2分の1ずつ共有しているとします。分割によりAが甲を単独所有し、Bが乙を単独所有した場合、二人とも全体としての財産額は1000万円で変わりません。

それでもAの甲土地について見ると、分割前の持分相当額は500万円で、分割後は1000万円です。Bの乙土地についても同じ比較になります。本判決の読み方では、このように各物件の増えた部分を確認します。この例は比較方法だけを示しており、実際の税率、軽減、評価方法や納税額の計算を省略しています。

本件の結論と他の税との区別

本件では、上告人は各土地の10分の1を持っており、分割により残り10分の9を取得していました。最高裁は、その取得全体が持分超過部分に当たるとして、上告を棄却しました。

不動産取得税のこの判断を、そのまま譲渡所得税や登録免許税の取扱いへ当てはめることはできません。税ごとに課税対象や非課税要件が異なります。共有物分割の法的な方法と、それぞれの税の判定を分けると、制度を混同せずに整理できます。

確認問題

複数物件を分割した後も、各共有者の取得した財産の合計額が元の持分相当額と同じなら、不動産取得税の持分超過部分は必ず0になるでしょうか。

答えは、必ずしも0になりません。本判決は個々の不動産ごとに比べる方法を採っています。全体の等価交換だけを示しても、個別の不動産で増えた持分の検討は省略できません。

関連する学習

不動産取得税の基本と、住宅と敷地の取得税の計算で制度を整理できます。宅建士の学習入口から税・その他へ戻れます。

出典・参照資料

  1. 最高裁判所第三小法廷 2022-03-22 不動産取得税賦課処分取消請求事件(最高裁判所)確認日 2026/10/23
  2. 裁判例結果詳細 令和3年(行ヒ)第62号(最高裁判所)確認日 2026/10/23

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