鑑定理論の論述答案は、設問が求める事項を分け、定義、理由、事例への適用を対応させて組み立てます。覚えた基準を長く書くだけでなく、問われた違いや判断の根拠を、採点者が追える順序で示す練習をします。
設問の動詞を拾う
定義せよ、比較せよ、説明せよ、具体例を示せ等、要求されている作業を最初に分けます。定義だけを求める問いと、二つの制度の違いや理由を問う問題では、必要な答案の構成が異なります。聞かれていない総論を先に長く置かないようにします。
複数の小問がある場合、各小問の対象と配分する内容を短くメモします。前半で説明し過ぎて後半の適用を書く時間がなくなるなら、答案構成の段階で分量を調整します。文字数だけでなく、要求事項を満たしたかを確認します。
定義と理由を分ける
定義では概念の範囲を示し、理由では、その考え方が必要な事情や価格形成との関係を説明します。例えば価格時点なら、基準日という定義に加えて、価格形成要因が時間とともに変動することを理由として対応させます。
基準の引用と、自分の言葉による要旨も区別します。原文の一部を省略・改変した場合に、全文の正確な引用であるかのように示さないことが必要です。要旨で書くときも、限定や例外が消えていないかを照合します。
事例の事実へ当てはめる
適用部分は、原則名をもう一度述べるだけにしません。建物の過大な規模、地域需要、維持費等、設問のどの事実が判断を支えるかを挙げます。資料がない数値を推測で補い、具体例らしく見せることも避けます。
均衡と適合を比較する問いなら、内部の構成要素と外部環境という軸を先に示し、同じ物件で各軸に当たる事実を分けます。二つの定義を独立して長く書くより、違いを求める設問に直接答えやすくなります。
見直しは対応関係を見る
設問の要求、答案の段落、根拠を一対一で点検します。結論の言葉が定義とずれていないか、例外を原則へ広げていないか、対象不動産や価格時点が途中で変わっていないかも確認します。専門用語の数を増やすこと自体を目標にしません。
練習後は、書けなかった定義、理由の不足、適用事実の落とし、時間不足を分けて記録します。次回はその部分だけ構成を作り直し、後で一答案を通して書きます。解答例の表現を写す作業と、自分で構成する練習を分けることが大切です。
短い答案構成の例
価格時点を問う独自の練習なら、第一段落で定義、第二段落で変動との関係、第三段落で調査日・報告日との相違を扱えます。例として価格時点と調査日を違う日に置き、その間の変化を確認する必要を説明します。設問に応じて必要な段だけを使います。
条件を変えて考える
練習答案を見直すとき、定義の段落を青、理由を緑、事例の適用を黒などで区分すると、同じ説明の反復が見えます。理由を問う設問なのに定義だけが長い場合は、定義を短くして因果関係を補います。読みやすい文へ直す際にも、基準の限定語や対象が消えていないかを最後に照合します。
確認問題
比較を問われたら定義を二つ書くだけで十分ですか。違いを示す共通の軸と説明も用意します。
適用では設問の事実を使いますか。はい。根拠と結論を具体的な事実でつなぎます。
原文を変えた要旨を全文引用として示しますか。いいえ。引用と要旨を区別します。
関連する学習
出典・参照資料
- 不動産鑑定評価基準(平成26年5月1日一部改正)(国土交通省)確認日 2026/10/23
- 不動産鑑定士試験・試験実施情報(国土交通省)確認日 2026/10/23
解説を読んで疑問が残ったときは、この記事に紐づけて質問できます。
この記事について質問する →