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計算権利関係

競売の配当計算|先順位から順に充当し、不足額を確かめる

抵当権の順位が異なるときは、配当原資を債権額の比率で割りません。費用などを処理した後の原資から先順位へ配当し、その残額を次順位へ回します。

抵当権の先順位から配当の条件・式・答えを対応させた計算図
この記事の目次 14項目
  1. 計算の要点
  2. 計算式
  3. 計算の条件
  4. 答え
  5. 抵当権は、不動産を使い続けながら設定できる
  6. 計算の前に、何が配当原資かをそろえる
  7. 1,000万円を、第一順位600万円から配当する
  8. 原資が先順位の債権にも足りない場合
  9. 利息の数字をそのまま足してよいか
  10. 配当額と、債権が消えた額を区別する
  11. 同じ順位の金額と混ぜていないか
  12. 3問で理解を確かめる
  13. 出典・参照資料
  14. 関連記事

計算の要点

計算式

次順位への配当額=対象債権額と先順位配当後の残額のうち少ない額

計算の条件

  • 費用等を処理済みの原資1,000万円
  • 第一順位600万円、第二順位700万円

答え

400 万円(第二順位への配当)

抵当権は、不動産を使い続けながら設定できる

抵当権は、不動産の占有を債権者へ移さずに、担保から優先して弁済を受ける権利です。住宅ローンの債務者が家に住み続けられるのは、抵当権を設定しただけで銀行へ占有を渡す制度ではないためです。返済されない場合には担保不動産の競売等が問題となりますが、設定と実行は異なる段階です。

抵当権者が複数いる場合、同じ不動産の価値をそれぞれが全額使えるわけではありません。原則として登記の前後により優先順位が決まり、売却代金等の限られた原資を、その順位に従って配当します。債権額の大きい人から払うというルールでもありません。

計算の前に、何が配当原資かをそろえる

まず、与えられた額が売却代金そのものか、執行費用や優先する公租公課等を処理した後の配当可能額かを確認します。問題で費用等を考慮しないと明示されているなら、架空の費用を自分で差し引きません。反対に、費用が示されていれば、その扱いを条件どおりに整理する必要があります。

次に、各順位の金額が元本だけか、利息等を含む優先弁済の対象額かを確かめます。本記事の計算例は、費用等の処理後の原資と、各順位で優先して配当を受けられる額が既に確定している単純な場合です。同順位、共同抵当、物上代位等を含む場合には追加のルールが必要です。

1,000万円を、第一順位600万円から配当する

配当可能額を1,000万円、第一順位の対象額を600万円、第二順位を700万円とします。第一順位は600万円を全額受け取り、残額は1,000-600=400万円です。第二順位は700万円の債権があっても、残っている400万円までしかこの原資から受け取れません。

順位

対象となる額

配当額

この配当後の未回収額

第一順位

600万円

600万円

0万円

第二順位

700万円

400万円

300万円

第二順位へ700万円を配当すると合計は1,300万円となり、原資1,000万円を超えてしまいます。最後に配当額の合計が原資以下であるかを確認すると、この種の誤りに気付きやすくなります。

原資が先順位の債権にも足りない場合

同じ債権額で原資が500万円しかない場合、第一順位へ500万円、第二順位へ0万円となります。第一順位の未回収額は600-500=100万円です。第二順位にも債権があることを理由に、原資の一部を必ず割り振るわけではありません。

反対に原資が1,500万円あれば、第一順位600万円、第二順位700万円を全額配当しても200万円が残ります。ただし、残額が直ちに所有者へ戻るとは限りません。他に配当を受ける債権者や差押え等がないかを確認する必要があります。二人の抵当権者しか示さない計算例では、設問が求める範囲にとどめて答えます。

利息の数字をそのまま足してよいか

民法375条は、利息その他の定期金や不履行による損害賠償について、抵当権を行使できる範囲を定めています。「元本と過去の利息を全部足せば、その全額が同じ順位で優先される」と決めつけないことが大切です。利息等を含む設問では、期間や特別の登記等の条件を読み取ります。

また、順位変更等の特別な事情が明示されていれば、単純に最初の登記日だけでは解けない場合があります。基礎計算では、原則の順位、優先対象額、使用できる原資を同じ表へ書き出してから、上から順に差し引いてください。

配当額と、債権が消えた額を区別する

第二順位の配当が400万円になったからといって、残る300万円の債権まで当然に消滅するわけではありません。この不動産からいくら回収できたかと、債務者に対する請求がどこまで残るかは別の問題です。他の弁済や免責等の事情がなければ、未回収の債権が残ることを前提に整理します。

計算では「今回の配当額」「配当後の残額」「債権の未回収額」の三つに名前を付けると混同を防げます。1,000万円の例なら、第二順位への配当400万円、原資の残額0万円、第二順位債権の未回収300万円です。それぞれが何を表す数字か、単位と併せて答えましょう。

同じ順位の金額と混ぜていないか

第二順位の対象額が700万円でも、400万円しか回ってこないという例は、担保不動産からの回収限度を説明しています。第二順位の債権者が持つ借用証書の額を400万円へ書き直すという意味ではありません。先順位がいくら回収し、原資がどれだけ減ったかという流れを見失わないようにします。例えば第三順位がさらに200万円あっても、この原資からの配当は0万円です。第三順位の債権を計算表へ追加しただけでは、第二順位の不足額や配当額は変わりません。順位ごとの対象額の欄と実際の配当額の欄を分けると、ゼロ配当の意味も明確になります。

抵当権・担保物権の確認

抵当権は、担保不動産の占有を移さずに設定できる担保物権です。競売配当では、債権額を並べる前に、優先順位、配当原資、担保される債権の範囲を確認します。複数の抵当権がある場合は、原則として登記の前後が順位の基準になります。

間違えやすい点

抵当権者が設定時から不動産を引き渡してもらう、という理解は質権との混同です。配当額は債権額と売却代金の小さい方を基本に考えます。

例で確かめる

費用等を考慮しない配当原資1,000万円、第一順位600万円、第二順位700万円なら、第一順位600万円、第二順位400万円となります。

基礎確認用の補足教材。確認問題に用いる基準は各問題に表示しています。

  • 民法:民法369条・373条

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出典・参照資料

  1. 民法(e-Gov法令検索)確認日 2026/10/28

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